世界の大手企業のほとんどが、
シンガポールに現地法人を設立している事をご存知ですか?
そんな大手の企業が、
シンガポールに法人を置くメリットとは一体何なのでしょうか。
前回は、「シンガポールに法人を登記する事のデメリット」に関してお話しさせて頂いたので、今回はメリットについてご説明させて頂きます。
現地で実際に事業を行って行く見地から、
低税率だけではないシンガポールでの法人設立のメリットをご紹介いたします。
シンガポールで法人設立することのメリット
やはり税率の低さと法人に対する優遇税制は外せません
1) 法人税、個人所得税の税率が低い
低税率以外と言っておきながら、
最初のご紹介はやはり税金の事になってしまいました。
シンガポールの法人税の最高税率は17%(実行税率は通常10%以下)
個人の所得税、最高税率は22%となっています。(2017年度から、それまでの20%から22%に引き上げられました。)
収入や売り上げにもよりますが、
支払う税金の額は、実効税率ベースでも日本と比べると半分以下、
あるいはそれ以上の開きがあります。
もし、1億円の利益が会社で生じた場合、
日本ではその約半分を税金として収めなければなりません。
ところがシンガポールであれば、
2,200万円(実際にはそれ以下)の税金を納めれば良いと言うことです。
利益が大きくなればなるほど、この違いは際立って来ます。
この低税率は、大きな利益が見込める企業にとっては、とても魅力です。
その為、多くの法人がシンガポールに設立されています。
法人所得税に関しては、優遇措置や還付もあります。
個人所得税(累進課税)においても、
ほぼ毎年のように還付が行われるので、
実効税率は17%よりも更に低くなります。
税率等の詳細についてご興味のある方は、
下記のブログも併せてご覧ください。
法人税について
▶ 「シンガポールと日本の税制を比べてみる」
個人の所得税については、
▶ シンガポールの所得税(個人)について、分かりやすく説明いたします。
▶ シンガポールの個人所得税の税率と控除について
但し、いくら納税額が低いからと言っても、
売り上げを上げないと低税率の恩恵を受けることは出来ません。
そのあたりはしっかりとご理解の程、お願い致します。
大きな売上があって初めて、
シンガポールに法人を設立するメリットを享受できるのです。
2)キャピタルゲインは課税されない
個人の所得と同様、
法人においてもキャピタルゲインに関しては非課税となります。
ここで少し気をつけて頂きたいのは、
キャピタルゲインとは何を指しているかという事です。
キャピタルゲインが非課税だからという事を全面に押し出して、
シンガポールでの法人設立を勧めている、ホームページなども見かけます。
ただ、その解釈が100%正しいものでは無い事が多いです。
家賃収入や銀行預金利息など、
繰り返し発生する性質のもので所得とみなすことのできるものは
所得税の課税対象となります。
ですので、すべてのキャピタルゲインが
法人に於いては非課税枠になると言うわけではありません。
(ただこれらに関して、100%所得と見なされるかというと、
かなり曖昧な部分があります。)
*個人の銀行預金金利は非課税ですが、法人の預金金利は課税対象となります。
FXなどをシンガポールで始めようとする方は、
個人口座の開設をお勧めします。
また、FXをメインとした事業を行う場合は、
金融ライセンスの取得が必要となりますので、
誤解の無いよう、気を付けて下さい。
株式譲渡に関しても、
これをキャピタルゲインとみなすか否かがとても曖昧です。
以前は、下記のような要件で判断をしていました。
・株の売却目的が利益を目的としていない。
*考えられる問題点
ー誰がそれをどうやって、何を尺度として判断するのかが、とても曖昧
・株の保有期間が長期にわたる。
ー長期っていったいどれくらい?期限は特に設定されていない。
・売買頻度が激しくない
ー激しいという判断基準は?回数の設定が無い。
このように判断基準が極めて曖昧なため、
本当にケースバイケースで案件ごと、
あるいは担当した人によって判断が異なってきます。
しかし、この「キャピタルゲインは非課税」を利用(悪用?)する
法人が最近になって増えてきたのかどうかは定かではありませんが、
もう少しはっきりとした判断基準を設けようということになり、
下記のような判断基準が設けられました。
2012年6月1日以降の株式譲渡については、
売却前に株式を最低24カ月以上、
かつ、20%以上を保有している場合を、
キャピタルゲインとみなすというものです。
これに該当しない場合には、
従来と同様にキャピタルゲイン判定を行う事になります。
キャピタルゲインに関して非課税というのは、
決して株式投資や不動産投資で法人が
儲けることを推奨しているものではないという事、
ご理解下さい。
シンガポールの法人の所得税について、
もっと詳しくお知りになりたい方は、
IRAS(シンガポール国税局)の法人所得に関して、課税となるもの、非課税となるもの
をご覧ください。(英語)
インフラの整備・ハブとして最適の立地
1)税率の低さを徹底的に利用する。
あるいは
2)他国へのビジネス展開の足場としてシンガポールに法人を設立を検討している。
という目的を持った方がほとんどだと思います。
シンガポールにアジア統括会社を設立する動きが、
7,8年前から活発になっています。日本以外の海外の多くの大手企業も、
アジア・オセアニアの統括部門を、シンガポールに設置する事が多いです。
それは、下記の様な理由によります。
1)世界でもトップクラスのインフラの整備状況
インターネットの速度は世界最速
日経:データディスカバリー”ネット先進国はどこだ”
の中でも紹介されているのですが、
シンガポールのインターネット(4G)の速度は、世界でも一番の速さなんだそうです。
確かに他の国に行くと、ネット接続の速度の遅さを実感します。
政府では、光ファイバー網の整備を進めており、
家庭用及び法人用とも、殆どが光回線を利用しています。
もちろんWIFIスポットもいたるところにあり、
海外からのビジターにも優しい環境です。
最近はMRT(電車)の駅のホームでも、
無料のWIFIが設置されています。
また、UOBやOCBCと言った地元のローカル銀行でも、
無料のWIFIを利用することができます。
他のアジアの都市と異なり、交通渋滞がほとんどありません
シンガポールでは偉大な建国の父、
リー・クワン・ユー氏の先見の明の元、
交通渋滞を招かないように、
個人所有の車の価格は思い切り高く設定されています。
これが功を奏して、個人所得の額に比べると、
自家用車の保有率がアジアの中では、
それほど高い方ではありません。
その為、朝夕の通勤時でも
アジアの他の諸国と比べると交通渋滞はそれ程ひどくはありません。
自家用車を利用しなくても済むように、
公共の交通機関もよく整備されているので、
どこへ行くのもスムーズでストレスがありません。
タクシーの料金が低く抑えられているのも、
一般車の台数を増やさない為の工夫です。
他国へのアクセスがとても便利
最近アジアの新興国に新しい空港が次々と登場し、
そのトップの座を脅かされているチャンギ空港ですが、
やはり出張の多いビジネスパーソンにとっては本当に使いやすい空港だと思います。
特にシンガポールに居住している人であれば、
無人のイミグレーション・レーンの使用が可能なので、
長い列に並んでスタンプを押してもらう必要がなく、
時間が大幅に節約できます。
また、シンガポールの中心地からもタクシーで20分程度の距離なので、
他の都市と比べ、出張の際の便利さは群を抜いています。
ハブ空港である、チャンギ空港は
アジア主要都市や中東へ行くのもとても便利です。
殆どのアセアン諸国への移動は、3時間以内。
また、中東やインドへの直行便も頻繁に運行しています。
シンガポールのビジネスパーソンは
日本の国内出張と同じ感覚で、
チャンギ空港を利用することが出来るのです。
チャンギ空港については、
アジアのハブ空港の中で、世界の1番人気はシンガポールのチャンギ空港!
というブログでもご紹介させて頂いています。
併せてご覧ください。
シンガポールで法人設立をするメリットは、まだあります。
引き続き、ご紹介させて頂きますね。
公用語が英語
世界の中でビジネスをしていく上で、
公用語が英語というのは非常に大きな利点です。
また、全ての公文書が英文で作成されているため、
重要な契約等の際にも特別な翻訳や通訳を必要としません。
クリーンな政府
結構大事なことですよね。
東南アジアの諸国では、未だに賄賂が横行しています。
また、政権が安定しているのも、
長期的なビジネスの計画を立てやすいという利点となります。
アジア、そして世界の情報がいち早く入手できる
公用語が英語という事もあり、
欧米からの情報が早く入ってきます。
日本のニュースをチェックしていると、
その速度の違いに驚かされます。
安全である
忘れがちなのが、治安の問題です。
特にご家族と共にシンガポールに転勤・移住される方には大きな問題です。
シンガポールは、
日本と比べてもある面では日本以上に安全な都市と言えます。
これ以外にも、
ご紹介しきれないほどのメリットがシンガポールにはあります。
最後に
法人設立あるいは移住先として、
シンガポールには多くのメリットがあります。
ただ、どんなに多くのメリットがあっても、
ご自分の会社がそのメリットを生かすことが出来なければ、
シンガポールに会社を設立する意味がありません。
もし、皆さまがシンガポールへの進出をお考えならば、
表面的なメリットに惑わされず、
ご自身の会社が本当に必要としていることが、
シンガポールで実現できるかを、
しっかりと理解することが必要ではないでしょうか。
当社ではシンガポールに進出をご計画の皆さまのサポートをさせて頂いております。
当地での移住をご希望の方は、
そして、法人設立や起業をご検討の方は、
のページも併せてご覧下さい。