世界でも自然災害が多いと言われる日本。そんな日本にお住まいで、移住をご検討中の方にとって、移住先の自然災害リスクは、治安と並んで最も気がかりな問題ではないでしょうか。
特に地震の発生率が世界トップクラスの日本に暮らし、その恐ろしさを実感しているからこそ、地震のない国への移住を検討するのは自然な選択といえます。
本記事では、2016年の執筆した内容を基に、最新のデータと2024年の現状を踏まえ、シンガポールの安全性と地理的優位性について、改めてご紹介いたします。
シンガポールが世界的に自然災害リスクが少ない国とされているのか、ぜひ続きをお読みください。
世界中で発生する異常気象
近年、気候変動の影響は世界中でますます顕著になっています。
2024年10月19日、東京で観測史上最も遅い真夏日を記録する一方、福岡では深刻な洪水被害が発生しています。
さらに、その数日前、フランスでは記録的な豪雨に見舞われ、インド南部でも大規模な冠水により、多くの住民が避難を余儀なくされました。
このように、一つの国の中でさえ極端な気象現象が同時に発生し、また世界各地で予測を超える異常気象が報告されています。
気候変動による自然災害のリスクは、もはやどの国も無関係ではいられない、グローバルな課題となっているようです。
【2016年のアジアの熱波】
2016年4月下旬、カンボジアの首都、プノンペンは連日40度を超える暑さとの連絡が入ってきました。
タイの暑さは更に深刻で、4月の終日の最高気温がほぼ毎日40度を越していて、44.3度を記録した地域もあり、20名以上の方が亡くなっているそうです。これは、65年ぶりの暑さだそうです。
インドでは、熱波の影響で160人以上の方が4月に亡くなられています。
どうやらエル・ニーニョの影響のようですが、暑さの為に、こんなにも多くの死者が出ています。
下記の地図を見て頂いてもわかるように、インドやタイの一部は赤色を越して黒くなっています。(イギリスのWeatheronlineによる、2016年4月30日の様子です。)
この地図ではシンガポールは見えないのですが、いつもと変わらない気候でした。
4月30日の午後4時の気温は、28度でした。
因みにお隣のマレーシア、クアラルンプールの同日、同時間の気温は34度です。
地図上で黒っぽくなっている、ミャンマー・ヤンゴンは38度。
やはり、東南アジア全体で相当気温が高くなってたようです。
シンガポールは一年中暑いけれど、絶対に35度以上にはならないと言われている理由は?
熱帯雨林の地帯に属していながら、熱波の影響をほとんど受けていないシンガポール。
これは、シンガポールが本当に小さな島国だというのが影響しているのかもしれません。
また、ガーデンシティと言われるほど、緑が豊富な国土なので、植物が熱波から守ってくれているかもしれません。
シンガポールは家に例えると、庭に沢山の樹木が植えられた、
窓が東西南北、四方にある、風通しのよい一軒家のようなものですね。
シンガポールには、気温が35度以上なったら、
建設工事等の屋外での作業は中止するという法令があるそうです。
でも建国以来、気温上昇の為に、屋外での作業が中止になったことは一度もありません。
政府が屋外での作業を中止させない為に、
温度計を調整しているという噂を聞いたことがありましたが、
今回のような事があると、
やはりシンガポールは、とんでもない高温にはならない国なんだという事が良くわかりました。
自然災害の多い国、日本
日本は、世界でも自然災害が最も多い国の一つとして知られています。
その主な理由は、日本が4つのプレート(ユーラシアプレート、北アメリカプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレート)の境界に位置しており、地震活動が非常に活発な地域にあるためです。
また、火山も多く、国内には110以上の活火山が存在しています。
全世界の陸域で発生するマグニチュード6以上の地震の2割近くが、日本に集中しています。
世界で起きたマグニチュード6以上の地震の回数(2011~2022)
*出典:国土交通省河川データブック2023
さらに、日本は季節風や台風の通り道でもあり、夏から秋にかけて、強い風雨を伴う台風が毎年のように上陸します。
気候の変動や温暖化によって、近年はさらに豪雨や土砂災害も頻発しています。
2017年以降、日本で発生した主な自然災害
ここでは、2016年の鹿児島で起きた地震以降に日本で発生した、主な自然災害を紹介します。
1.平成30年7月豪雨(西日本豪雨)
日付: 2018年7月
概要: 西日本を中心に、過去に例のない大規模な豪雨が発生。広島県や岡山県、愛媛県などで大規模な土砂災害や洪水が発生し、死者223名を記録。家屋やインフラに甚大な被害をもたらしました。
※1:消防庁「平成30年7月豪雨及び台風第12号による被害状況及び消防機関等の対応状況(第56報)」
2. 平成30年北海道胆振東部地震
日付: 2018年9月6日
概要: 北海道胆振地方で発生したマグニチュード6.7の地震。最大震度は厚真町の震度7で、北海道で観測史上初めて震度7を記録した地震です。土砂崩れにより多くの家屋が押し流され、死者44名を記録。北海道全域で大規模な停電が発生し、経済活動にも深刻な影響が及びました。
3. 令和元年東日本台風
日付: 2019年10月12日〜13日
概要: 非常に強い勢力で日本列島に上陸し、特に東日本を中心に大きな被害をもたらしました。関東や甲信越、東北地方で河川の氾濫や土砂崩れが発生し、100名以上が亡くなりました。多摩川や千曲川などの大規模な氾濫も起きました。
4. 2024年1月北陸地方の地震
日付: 2024年1月1日
概要: 石川県の能登半島地下16 km、鳳珠郡穴水町の北東42 kmの珠洲市内で発生した内陸地殻内地震。地震の規模はМ7.6で、輪島市と羽咋郡志賀町で最大震度7を観測した。震度7が記録されたのは、2018年の北海道胆振東部地震以来、観測史上7回目となる。
2024年8月時点で、死者は341人(うち災害関連死112人)、全壊家屋は6,273棟。
このように、日本は、様々な自然災害のリスクに常にさらされています。
アジアで、最も自然災害を受けやすい国と受けにくい国
下記は、ミュンヘン再保険が公開している世界自然災害地図です。
英語版ですが、世界中の自然災害の可能性が地図上で、わかりやすく色分けされています。
出典:Nathan Woeld Map of Natural Hazardz
地図が小さくなってしまって、ちょっと見にくいのですが、
白から赤色までの色分けが地震が起こる可能性。
緑色が、サイクロン。アジアでは主に台風の被害です。
三角は火山。
こちらの地図でも分かるように、
日本は世界の中でも自然災害に関しては、最も危険な地域という事が出来ます。
分かりやすいように、アジアの部分を少し拡大してみました。
こちらで再び、日本を見てみると、
地震に関しては、最も危険である、Zone 4。
台風に関しても、九州・沖縄地方は危険度マックスのZone5。
更に関東までは、Zone4。
それ以外の地区でも危険性は皆無ではありません。
また、ちょっと見にくいのですが、
本州を火山帯が背骨のように縦断しています。
アジアの中でも、比較的無色に近いミャンマー、カンボジア地区とインドは、
上記でお知らせしたように、
今年は深刻な熱波の影響を受けています。
また、ミャンマーは、2015年に大きな洪水に見舞われ、甚大な被害が出ています。
その中で、上記の自然災害を全く受けていない国があります。
それが、シンガポールとマレーシアです。
アジアは比較的地震の多発しやすい地域ですが、この両国だけは全くその影響を受けていません。
但し、マレーシアの一部であるボルネオ島では、活火山が2015年に噴火し、マグニチュード6の地震が発生し、犠牲者を出しています。
また、マレーシア本島では、2015年に洪水の被害が一部で発生。さらに干ばつのニュースを耳にします。
となると、アジアで一番自然災害が少ない国はシンガポールといえるのではないでしょうか。
世界の「自然災害リスク」 ランキング
-日本とシンガポールの自然災害リスク比較
地震洪水などの災害に影響を受けやすい国
順位 | 国名 | 危険度数 |
1 | 中国 | 64.59 |
2 | メキシコ | 50.08 |
3 | 日本 | 43.67 |
4 | フィリピン | 39.99 |
5 | インドネシア | 39.89 |
上位にランクインしている国々は、地震、津波、台風、高潮、河川洪水、干ばつ、そして海面上昇といった多様な自然災害のリスクの高い国です。 特に、地震と津波のリスクは高く、沿岸部の住民は海岸洪水の危険性も常に抱えています。
自然災害がほとんどない国 シンガポール
シンガポールは赤道近くの地質学的に安定した地域に位置しているため、地震や火山の影響をほとんど受けません。
また、台風の通り道からも外れているので、自然災害とはほぼ無縁の国です。
国家としても、厳格な建築基準と先進的なインフラが整っているため、安全性が高いといえます。
シンガポールで地震がほとんど起こらない理由
シンガポールは、長い歴史の中で、大規模な地震の記録がほとんどありません。
2004年のスマトラ沖大地震の際に、地震動が観測されました。
この際に、埋め立て地域でかすかに体に感じる地震が起き、大ニュースになったほど、地震とは縁のない国です。
なぜ、シンガポールでは、地震が起きないのでしょうか?
シンガポールの地質学的特徴
- ユーラシアプレート:
シンガポールは、ユーラシアプレートと呼ばれる大きなプレートの上に位置しています。このプレートは比較的安定しており、他のプレートとの境界で大きな摩擦やひずみが発生しにくい特徴があります。 - 断層の少なさ:
地震は、地下の断層がずれることで発生しますが、シンガポールには活断層と呼ばれる、現在も活動している可能性のある断層がほとんどありません。 - 火山活動の少なさ:
火山活動も地震の原因の一つですが、シンガポール周辺には活火山がほとんど存在しません。
シンガポールの地理的条件
- 赤道直下:
シンガポールは赤道直下に位置しており、地震を引き起こすような大きな地殻変動が起きにくい地域です。 - 島国であること:
島国であるため、周辺に大きな陸地がなく、地震波の影響を受けにくいという特徴もあります。
この、カリマンタン沖の大地震では、津波の大きな被害が出ました。
この津波は、インド、スリランカ、タイなど、震源地から数千キロメートルも離れた沿岸地域にまで到達し、多くの死傷者を出しました。
おおよそ、数百キロメートルしか離れていない、シンガポールがこの津波の影響を受けなかったのはどうしてでしょうか。
シンガポールが津波の影響を受けにくい理由
- 陸塊で囲まれた地形:
シンガポールは、マレー半島から南に突き出た島であり、陸塊で囲まれています。そのため、大きな津波が発生しても、陸地が天然の防波堤の役割を果たし、直接的な影響を軽減する効果があります。 - 深海溝からの距離:
シンガポールは、大きな地震を引き起こす深海溝から離れた位置にあります。深海溝で発生した地震によって引き起こされる大規模な津波は、シンガポールまで到達する前にエネルギーが分散されてしまうため、大きな被害をもたらす可能性は低いと言えます。 - 海底地形:
シンガポールの周辺の海底地形は、津波のエネルギーを吸収しやすく、津波の高さを低減させる効果があります。
このように、多くの要因が関係し、シンガポールは、世界的に見ても自然災害がとても少ない地域となっています。
自然災害に関する、各種サイトのご紹介
世界各国には、様々な自然災害に関するサイトがあります。
その中から、National Oceanic and Atmospheric Administration (NOAA)
をご紹介します。
画面の左側に、「火山」や「津波」などの項目が並んでいます。
チェックマークを入れると右側に表示されている地図上にその情報が現れます。
「津波」と「火山プレート」にチェックマークを入れたのですが、
日本は埋め尽くされて見えなくなってしまいました。
国連大学から毎年、「世界リスク報告書」が発表されています。
この報告書は、世界が直面している様々なリスクを包括的に分析し、その影響や対策について提言する重要な報告書です。
詳しくは、▶ 世界リスク報告書2016年版 のブログご覧ください。
最新版は、世界リスク報告書2024年版から、ダウンロード可能です。
まとめ
移住を考える際、シンガポールのような自然災害リスクの低い環境で生活することは、家庭やビジネスの安定性を大きく支える要因となるでしょう。
特に、お子様の教育や家族全体の安全を最優先に考えるならば、シンガポールの安全な環境は非常に魅力的な選択肢となります。
当社では、節税や、教育移目的でシンガポールへの移住を検討されている日本の方々に、包括的な移住サポートサービスを提供しています。
自然災害リスクの低さだけでなく、教育環境、医療施設、生活の質など、多角的な視点からシンガポール移住のメリットをご説明し、スムーズな移住をサポートいたします。
シンガポールへの移住に関心をお持ちの方は、ぜひ当社にご相談ください。
豊富な経験と専門知識を活かし、お客様一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの移住プランをご提案いたします。