ダイソンがEVの生産拠点にシンガポールを選んだ理由

MonicaVolpin / Pixabay

10月23日、サイクロン掃除機で世界的に有名になった、
イギリスの家電メーカー、ダイソンは電気自動車の生産拠点として、
シンガポールを選んだと発表しました。

ダイソンは何故、労働者の給与や不動産価格が高いシンガポールを
生産拠点として選んだのか?

シンガポールの見事な国家戦略が垣間見れる、
今回のダイソンの決定を見ていきます!

ダイソンが電気自動車?

サイクロン掃除機、羽のない扇風機など、
他社の家電メーカーとは、一線を画する製品を生み出してきた、
ダイソンですが、何故、電気自動車に参入しようとしたのか?

ダイソンの電気自動車事業参入に関しては、
日経ビジネスが、今年の始めに特集を組んでいます。

日経オンラインでも、少しだけ紹介されていました。
ご興味がある方はご覧下さい。
ジェームズ・ダイソンがEV参入の狙いを激白

ダイソンが電気自動車市場に参入を表明したのは、2017年9月です。

家電メーカーが電気自動車?とかなりびっくりの話題ですが、
コードレス掃除機などで培ったモーターや蓄電池技術を生かし、
総額20億ポンド(約2900億円)を投じて
全て自前で開発・生産すると発表しました。

2022年のフル生産を目指しており、
その生産拠点として選んだのが、シンガポールだったのです。

ダイソンとシンガポールの関係

ダイソンの電気自動車市場参入(しかも自前で生産!)
という話題もさることながら、
その生産拠点として選んだのがシンガポール。
これもまた、ちょっと意外な決定だと思った方が多いのでは?

実はシンガポールとダイソン社の関係がはじまったのは、
10年以上も前なのです。

以下、シンガポールへの投資を広げてきた、ダイソンの歴史です。

  • 2007年:
    シンガポール・サイエンスパークに開発施設を開設
  • 2009年:
    開発施設を、アレクサンドラ ・テクノパークへ移転
    従業員数は、以前の7倍に増加
  • 2012年:
    モーター製造施設をウェストパークに開設
    翌年約79億円の追加投資を行う
  • 2017年:
    研究開発機能拡張のため、シンガポール・テクノロジーセンター開設
    投資額約476億円

シンガポール・テクノロジーセンター開設の際のダイソンのプレスリリース(日本語版)
ダイソン、シンガポールで未来への投資 SINGAPORE TECHNOLOGY CENTREを新設

  • 2018年:
    電気自動車(EV)の生産拠点をシンガポールに設置すると発表。

モーターの製造拠点もあり、合わせて約1100人を雇用している。ジム・ローウェン最高経営責任者(CEO)は声明で、優秀なエンジニアが採用しやすい利点などを挙げ「EVを造る場所としてふさわしい」と述べた。現地での従業員数は今後2倍以上に増える見込みだという。

英ダイソン、EV生産はシンガポールで 20年に工場完成 日本経済新聞電子版

この流れを見ていくと、
はじめはスモール・ステップでシンガポールへの投資を始めたダイソンですが、
その後、急速に投資のスピードを上げて行ったのがよくわかりますね。

2017年に開設された、シンガポール・テクノロジーセンターは
イギリスに次ぐ2番目の規模の研究・開発施設です。

何故シンガポールに研究・開発施設を?

シンガポールは世界的に見ても、不動産が高いことで有名です。
中心地のオフィスや住宅の価格は、
日本の丸の内のオフィスや、ベイフロントのタワーマンションより高額です。

一人あたりの国民総生産も、日本を抜き去り、アジアでトップの国です。
ということは、労働者の賃金だって他の東南アジア諸国と比べて
高いのは当たりまえ。

そんなシンガポールに、何故広い敷地を必要とし、
多くの従業員を雇用しなければいけない施設を建設したのか?

それは、個人的には、ビジネスセンスという面では、
世界の中でもトップを走っていると信じている、
シンガポール政府の、鮮やかな手腕が関係しているのです。

税金だって家賃だって、政府が決めることができる!

シンガポールというと、世界の富裕層が暮らす、
金融立国のような、イメージが強くなりましたが、
依然として国家収入の大きな比率を占めているのは、製造業です。

製造業の良い点は、バーチャル的にオフィスを構える一部のIT系の企業と異なり、
シンガポールという地で、しっかりと雇用も生んでくれます。

また、現地で実業を行う製造業の誘致に対しては、
マネロンや不当な節税を増長しているなどと、
他国やOECDから非難されることもありません。

なので、政府としても、製造業を誘致することは
国家の成長を促す上でも、とても重要なことなのです。

但し、安い賃金の多くの従業員を必要とする
製造業はシンガポールには向いていません。

製造業と行っても、従来の日本の大手製造業のような会社とは全く異なる、
ダイソンのような会社は、シンガポール政府にとって、
是非シンガポールに誘致したい、超優良企業です。

シンガポールには、住宅費等が高いと言うデメリットがありますが、
税金が安いと言うメリットがあります。

また、特殊な技術や、整備された環境を必要とする製造業にとって
シンガポールは、ほとんどの条件を満たしている国なのです。

しかも、シンガポールという国に貢献してくれる企業には、
政府が特別に優遇措置を設けてくれます。

公にはされていませんが、ダイソンはもしかしたら、
法人税なんか払っていないかも…
払っていたとしても、ごく僅かな金額に違いありません。

更には、通常であれば高い家賃も、
研究施設の土地が、政府管轄となれば、
魅了的なオファーだって可能です。

もちろん、シンガポールの立地や環境は、
世界中から優秀なエンジニアを集めるのにも、
最適です。

お隣のマレーシアに工場を持っているダイソンにとっては、
地理的には最適な場所であることは、明白です。

でも、そんな有利な条件以外にも、
他国で施設を検討する余地のないぐらい魅力的なオファーを
シンガポール政府はダイソンに提案したに違いありません。

今回は、いつもとは少し違った視点でシンガポールの事、
お伝えしてきました。

近年、就労許可の取得や法人口座の開設が難しくなったなど、
シンガポールへの進出を考えている企業にとって、
ネガティブな話題が多いのですが、
本当にシンガポールに貢献する企業であれば、
シンガポール政府は、全面的に企業をサポートしてくれます。


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