安い安いというけれど、どのくらい安いのか、想像が付きますか?
今回は、日本で年収3,000万円の方が税金を払った場合、
日本とシンガポールでは、いったいどれくらいの違いがあるのかを、
検証してみます。
シンガポールの個人所得税について、少しだけご説明します。
シンガポールでは、「個人の所得税」の源泉徴収は行っていません。
なので、毎年3月中盤から4月中盤にかけて、個人所得税確定申告が行われます。
1月から12月の所得を、翌年のこの時期に申告するのです。
申告は、ほぼ全てがオンラインで行われます。
現在、2016度の確定申告が終わったばかりです。
今年は、シンガポールの個人所得税の税率が従来の20%から2%引き上げられ、
22%になりました。
個人所得税に関しての詳しい事は、
シンガポールの個人所得税の税率と控除について
のブログに書いていますので、こちらも参考にして下さい。
シンガポールの個人所得税は累進課税方式を採っています
何故、今回3,000万円という年収にしたのでしょうか。
それは、シンガポールの最高税率が適用されるのが、
32万シンガポールドル(日本円で約2,560万円)からだからです。
シンガポールでは、個人の所得税に対して累進課税方式を採用しています。
最初の2万ドルまでは、無税となります。
その後、2%から22%まで、所得に応じて税率が変更されます。
では、実際に計算してみましょう
2017年4月末現在、
シンガポールドル対日本円は、78円=1シンガポールぐらいで推移をしています。
計算を簡素化するために、ここでは、1シンガポール=80円で計算します。
また、扶養者控除や生命保険控除などは、全てないものとして計算します。
今年度は、一律500シンガポールドルの還付が行われましたので、
それを考慮に入れた、税金の額は、
3,000万円の年収で、56,150シンガポールドル。
日本円で約449万円です。
税率にすると、14.97%
さて、日本でこの収入を、申告すると、一体いくらになるのでしょうか?
ここで、国税庁の
No.2260 所得税の税率
のページを参考にして計算してみます。
日本の場合、1,800万円を超え4,000万円までは、控除額が2,796,000円あります。
それでも、納税額は、
9,204,000円になります。900万円が税金なんですね。
実効税率は、約30%
しかし、日本の場合は、これだけではすみません。さらに地方税が加わります。
東京都の場合地方税の税率は、10%です。(都民税4%、区市町村民税6%)
こうなるとシンガポールと日本の納税額の差は、3倍近になってしまいます。
ここで、わかりやすくする為に表にしてみます。
*但し、地方税の基礎控除は無視します。(日本の税金って複雑すぎます~)
年間の所得が3,000万円あった場合の納税額
日本 | シンガポール | |
所得税 | 12,204,000円 | 4,490,000円 |
手取り | 17,796,000円 | 25,510,000円 |
手取りで、実に1,000万円近くの差がついてしまいました。
40%と15%の税率の差って、こうやって見るとものすごいですね。
所得が3,000万円ある人はシンガポールの方が絶対にお得?
課税対象となる所得が3,000万円ある場合は、
絶対的にシンガポールでの納税がお得です。
もちろん、他の収入額でもお得ですが、
シンガポールで生活する事を考えると、
1,000万程度の年収では、
あまりメリットがないかなと言うのが正直な感想です。
でも、年収が3,000万あるからと言って、
簡単にシンガポールに移住しようと考える人はほとんどいないはずです。
というのは、会社にお勤めの方であれば、
きちんと3,000万円の申告をして、税金は自動的に差し引かれますが、
個人事業主や会社を経営されている方は、
きっと色々な知恵を働かせて、
ご自身の個人所得をできるだけ少なく抑えていると推測されます。
だから、実質3,000万円ぐらいの年収があっても、
表向きは(もちろん合法的に)もっと少ない年収になっていると思います。
日本では、色々なことが細かく規定されている割には、
結構税務的な抜け道があったりします。
なので、あらゆる財務対策を行ってもやはり、
飛び抜けた収入になってしまう場合を除き、
「シンガポールの所得税率は魅力だけど、やっぱり日本の方がいいよね」
と言う事になるのでは?
但し、もともと所得税率の低いシンガポールでは、
節税の為の施策を、色々考える必要がないという利点はあります。
しかも、キャピタルゲインは課税対象外。
更に相続税や贈与税もありません。
常に節税対策を考えた会社運営や生活に嫌気が差した、
と感じる方には、シンガポールは魅力的な都市と言えます。
所得税控除対象
ここで簡単にシンガポールで、
所得税から控除される主なものをご紹介します。
扶養控除:16歳未満の子供、それぞれ一人あたり4,000シンガポールドルが控除になります。
配偶者控除:2,000シンガポールドルが控除になります。
生命保険控除:保険金の掛け金あるいは、受取額の7%、どちらか低い額が控除になります。
後は、政府が指定した団体への寄付金やコースへの参加費が控除対象となります。
日本の社会保険控除と同様なものは、こちらではCPF控除にあたるので、
外国人の場合は適用されません。
どれも、日本と比べると控除額が大きいのが特徴です。
16歳以下のお子様が二人、そして専業主婦の奥様がいれば、それだけで10,000シンガポールドルの控除です。
最後に
さて、ここまで見てくくると、
何故、日本の個人事業主や企業のオーナー社長さんは
個人所得や法人所得の税務に詳しく、
シンガポール人は無頓着なのかがわかりますよね。
現在の日本の抱えている問題は、
納税額の高さに加え、
その税金の使い方に多くに人が疑問を抱いていることだと思います。
現状では多く納税した人への恩恵が全くありません。
反対に、高額所得者に対しての風当たりが強いのは何故でしょう?
当社では、シンガポールへの移住をご検討の経営者の方のための、
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