属地主義と属人主義について

属地主義と属人主義について

当社に、以下の様なご質問を頂きました。

「今年中に、シンガポールに移住した場合、日本では住民税は課されないということを知ったのですが、本当でしょうか?」

来年でも、再来年でも、移住したら税金を支払うのは移住先なので、
今年も来年もないのですけれど…

多分この方のご質問の意味は、年度中に海外へ移動した(日本の非居住者となった)場合
と理解して良いでしょう。
もしかしたら、今年度大きな臨時収入があったのかもしれません。

このご質問を基にして、
本日は「税金は、どこに支払わなければいけないか」という事を
少し掘り下げてみます!

目次

属地主義と属人主義

この言葉、聞いたことがありますか?

日本やシンガポール、
そしてほとんどの国は、この属地主義をとっています。

WIKIで調べてみると…

属地主義(ぞくちしゅぎ)とは、
法の適用範囲に関する立法主義の一つで、自国領域内に場所的に限定するもの。

とあります。

法の適応が、自国の領域内に限定されているということは、
納税に関しても言えることです。

なので、日本の居住者でなくなった時点で、
日本国内では、納税の義務はなくなるということです。

*但し最近では、色々な方法で納税を逃れようとする人と、
課税をしようとする、税務当局との間の攻防があり、
単純に日本から出国したら、納税の義務が無くなると
一口では、言えなくなって来ています。

何のしがらみもなく、シンガポールに移住してきたはずが、
移住後も日本での納税に関して、
揉めている方の話もチラホラと耳にします。

さて、属人主義についてです。

属人主義では、属地主義と反対に、
国籍を有する国の法律が、どこへ行っても適応されます。

アメリカやフィリピンは、この属人主義をとっています。
アメリカ国籍の人はどこへ行っても、
アメリカへの納税義務は生じるという事です。

シンガポールや香港のように、所得税が低い国に暮らしていても
低税率の恩恵を受けることは、できないのです。

アメリカ人が、他の欧米人に比べてシンガポールにあまりいないのは、
この属人主義が関係しているのでしょうか???

この属人主義と属地主義は、法人にも適用されます。
シンガポールに設立された法人は、
あくまでも、シンガポールの法律に準じて税金を支払う事になります。

だから、低税率の恩恵を受けようと、
各国から、シンガポールで法人を設立しようとする各企業が集まるのです。

オランダやアイルランドに法人を設立するのも、同様の理由からです。

Amazonやグーグルの節税方法が世界各国で取り上げられましたね。
最近では、実態のないタックス・ヘイブン国に
設立された法人への取締りが厳しくなって来ました。

ちなみに、当社へのグーグルからの請求書、
以前はアイルランドから送られてきたのですが、
今は、ちゃんと(!)シンガポール法人から送られてきます(笑!

海外に転出したら、納税の義務は本当になくなるの?

海外転勤を12月までに済ませると、
節税になるということで、赴任は12月までに済ませる。

反対に帰国は年明けが良いなど、
微調整をする駐在員の方も見受けられましたが、
一般の方にはあまり関係のない話なので、
中々理解しづらいかもしれません。

確かに、納税の申告前に日本の非居住者となってしまえば、
住民税は発生しません。

但し、所得税となるとその解釈がきちんと定まっていないのが実情です。

例えば、シンガポールに法人を設立し、ご家族で移住。
お住いも、シンガポールで購入された方がおいでになるとします。

この方は日本でも、会社を経営しており、
移住後も日本法人の取締役として、
名前を連ねています。

このような場合、
いくら半年以上海外に暮らしている明らかな証拠があっても、
日本で全く所得税が発生しないとは、限らないのです。

もし、税務当局がこの方のビジネスの主軸は
あくまでも日本だと判断した場合、
日本で課税される可能性が100%ないとは言い切れません。

最悪の場合は、シンガポールに設立した会社は、
節税(脱税?)の為のダミー会社をみなされてしまいます。

なので、移住の際は十分な事前調査が必要です。
それも、きちんとした専門家に依頼することをおすすめ致します。

シンガポールに、独立法人を設立して節税

ここで、おまけにもう一つ。
属地主義は法人にも適用されると、ご説明させて頂きました。

日本での高額な法人税を逃れて、
低税率のシンガポールに法人を設立することは、
明らかに節税になります。

但し、軽い気持ちで法人を設立してしまうと、
日本国内で、様々な税務上の問題が発生します。

シンガポールにペーパーカンパニーのような法人を設立し、
現実的に事業を行っているのは、日本なのに、
売上をシンガポール法人に移してしまう場合は
日本で脱税行為をみなされる恐れがあります。
(まあ、明らかに脱税ですね…これでは)

反対に、シンガポールに法人を設立することが、
会社存続の必須条件であるのに、
きちんとしたプロセスを踏まなかった為、
税務当局から脱税の疑いをかけられた、企業も存在します。

特に最近は、グローバル企業が
各国で追徴課税を課せられている事象が多く発生しています。

最後に

世界中の情報がネット上で、
手軽に入手できるようになりました。

ただ、その情報の中には、
とても無責任な情報も含まれています。

移住や海外での法人設立が、
以前と比べてとても手軽になってきた反面、
間違った情報を、よく調べもせずに
鵜呑みにしてしまう場合もあります。

大きな決断を下す目には、ぜひ一度立ち止まって、
第三者の目で、現在地を俯瞰してみましょう。


当社ではシンガポールヘ進出される企業の皆様、

また移住をお考えの皆様のサポートをさせて頂いております。

当地での移住をご検討中の方は、

シンガポール移住サーポートのページを

そして、会社設立等については、

シンガポールビジネスサポート

も併せてご覧下さい!

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