シンガポールの税率が低いことは、日本のマスコミ等で頻繁に取り上げられているので、
日本にお住まいの皆様もすでにご存じの方が多いと思います。
本日は、個人の所得税について。
それも税率だけのお話ではなく、
税金の仕組みや申告および支払い方法についてご説明させて頂きます。
自分で申告はしなくても、せめて仕組みだけは知っておきましょう。
最近、所得税の申告を会計士事務所やコンサルに丸投げしていたがために、
実際に支払わなくてはいけない金額以上の所得税を、
納めた方からのご相談を頂きました。
ご自身で税務申告はしないという方でも、
そんな不幸な事態を避ける為、
納税の仕組みや納税方法等についての最低知識だけは知っておくことをお勧めいたします。
シンガポールの法人の税率について、ご興味のある方は以下のブログもご覧ください。
▶シンガポールの様々な法人税優遇措置についてーその2:PICスキーム
シンガポールの個人所得税は源泉徴収ではありません。
シンガポールの個人所得税は、日本と異なり源泉徴収はされません。
前年(1月から12月まで)の課税所得を申告。
その後、IRAS(内国歳入庁)から納税額の通知および請求。
こちらの請求に従って、税金を納付するという形態を取っています。
法人税の申告とほぼ同様のスタイルです。
外国人が多いシンガポール。
これでしっかり税金を徴収できているのかがちょっと心配になります。
(高額納税者は知りませんが、年間300万円程度の収入であれば、納税せずにそのまま帰国みたいな外国人もいる事はいます。二度と入国はできないでしょうが…)
ちなみに日本は、
1940年にドイツを見習って源泉徴収の制度を取り入れたそうです。
納税までの流れ
お勤めをされている方であれば、雇用主の方から、
納税に関する書類が各個人に配布。
個人で記入後、税務申告は会社が一括で行う事になります。
税金の納め方については、
各企業で異なると思いますので、こちらでは説明を省きます。
今回は、個人で税金を納める場合に限っての説明とさせて頂きます。
1)IRASから税務申告を促す通知が届く
毎年、1月の終わりから2月にかけて、
個人宛てに「○月○日までに、所得の申告をするように」というSMS(携帯のショートメッセージ)が送られてきます。
*一々個人の携帯番号のメッセージを送るのが、とってもシンガポールらしいです。
SMS以外にも郵送でも通知されます。
申告の期限は、年によって多少異なりますが大体3月ぐらいが目安となります。
申告の時期になりますと、IRAS(内国歳入庁)の方で申告用のサイトを用意するので、
各自、インターネットを通じてIRASへ申告を行います。
2015年度の個人所得税務申告の場合は、
税務申告の開始は3月1日。
締め切りは4月18日です。
2)どうやって申告するの?
◇申告はインターネットを利用◇
税務申告の通知を受けた後、決められた期限までに、各自がシンパス(一人一人に与えられたIDのようなもの)を使って、インターネット上で前年度の収入を申告をする必要があります。
シンガポールの税務申告は、個人の所得税に限らずそのほとんどがインターネットを通じて行われます。
申告自体もとても簡素化されていますので、
初めての人でもそれほど難しくはありません。
申告の際に必要な”シンパス”ですが、
政府系のオンラインで何かを行おうとするときに常に必要となってくるIDです。
当地で就労許可が下りた後、なるべく早く取得しておくことをお勧めします。
この”シンパス”ですが、本人の許可なく使われるケースが多発したため、
2015年からセキュリティーが強化されました。
シンパスのセキュリティー強化について詳しくは、
シンガポールの英字新聞「ストレートタイムズ」に記載されています。
【お知らせ】
”シンパス”のセキュリティー強化がさらに厳しくなり、2段階承認が必要になりました。
2016年の7月までに、2段階承認の手続きを終えなければ、納税の手続きや就労許可の更新等の手続きがオンラインでできなくなります。IRAS,CPF,MOM等々の省庁から、連絡が行っていると思いますので、早めの手続きをお勧めします。
3)いよいよ支払いです
申告後、2,3か月後に「賦課通知」が送られてきます。
通知に従って、支払いを行ってください。
この支払に際しての通知ですが、いつ頃届くかはきちんと決まっていません。
納税額の応じて通知の期間が異なるとか、
いろいろ言われておりますが、信ぴょう性については裏づけがないので、
何とも言えません。
4)支払い方法について
納税方法については様々な方法があります。
各自、都合の良い支払方法を選ぶことができます。
- 小切手での支払い:
未だにシンガポールでは小切手が一般的に使われています。
*支払い通知の中に封筒が同封されていますので、
こちらを利用して払い込みを行います。 - 郵便局での支払い:
納税通知を郵便局に持参して、現金あるいはデビットカードで支払う。 - AXSあるいはSamを利用:
銀行のATMカードを使用して、各種料金の支払いができるATMのような機械があります。この機械を使って納税をすることができます。
この機械で、税金の他、公共料金や罰金、LCCのチケット購入など色々な支払いができます。
*納税額が高額になる場合は、クレジットカードでの支払いができない事があります。 - 自動引き落とし:
GIROという自動引き落としの手続きをして、ご自身の銀行口座から引き落としをしてもらいます。政府は一番こちらを推奨していますが、いちいち登録をしなくてはいけないので、企業は別として、個人にはそれほど広まっていないのではないかと思います。 - インターネット・バンキングによる支払い:
インターネット・バンキングで納税が可能な銀行は、IRASのサイトをご査収下さい。 - 携帯のアプリ:
上記のAXSとSamには携帯のアプリもあります。そして、DBS(シンガポールのローカルバンク)には、”DBS PayLah!”というアプリがあるそうです。
*この”Lah”というのは悪名高きシングリッシュ。何でも言葉の最後に’ラ!’ってつけるんです。それをアプリ名にしてしまう、政府系NO1の銀行はすごい!
本日はここまで!個人所得税については続編へ続きます。
納税方法はわかった。でも税率や他に個人が支払わなくてはいけない税金。
また、節税方法とかはどうなってのか?
そちらの方が知りたい方は多いですよね。
今回は、少々長くなってしまったので、次回に続けさせて頂きます。
それでは次回、
「個人所得税の税率」について、ご説明させて頂きます。
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