シンガポールに進出して来た日系企業

Japanese companies

最近のシンガポールのイメージからは、想像するのは難しいかもしれませんが、
シンガポールはもともと、日本の製造業を盛んに誘致して発展を遂げて来た国です。

日本をお手本に頑張った、建国から第一次の成長期。

そして、一人当たりのGDPで日本を追い抜き、
アジアで一番の国となった第二次の成長期。

そのシンガポールにおける、日系企業の進出の歴史を本日は見ていきます。

目次

ここで少しだけ、シンガポールの過去を振り返ってみます。

シンガポールは、2015年に建国50年を迎えた若い国です。
1965年、シンガポールはマレーシアからの独立を余儀なくされます。
自らが望んだ独立ではなく、マレーシアから追放された形での独立です。

建国の父である、故リー・クワン・ユー元首相は、想像もしていなかった独立に戸惑いながらも、資源の乏しい、そしてわずか人口180万人という国の存続の為、日本に企業誘致を求めます。

その後、シンガポール政府の必死の努力によって、多くの日本企業がシンガポールに進出し、シンガポールの製造業の基礎を築いていきました。

シンガポールの第一次の発展は日本の製造業によって、もたらされたと言っても過言ではありません。

時代は変わり、日本は世界のトップの座から転落。長い低迷の時期に入ります。
一方シンガポールも、1997年に第一次にアジア通貨危機に直面。第一次成長期の終焉を迎えます。

リー・シェンロン首相就任後、シンガポールに多くの日系企業がアジア統括会社を設立。

日本の製造業の誘致によって、アジアでもトップレベルの国家となったシンガポールですが、国家が発展するという事は、労働者の賃金も上昇するという事です。
以前と同じように、安い賃金による労働集約型の産業が中心では、更なる国家の成長を望むことはできません。

2004年にリー・クワン・ユー元首相の長男である、リー・シェンロン氏が第3代シンガポールの首相に就任。父とは全く異なった政策で、シンガポールを第二次成長へと導いていきます。

海外からの積極的な企業誘致という点では、建国以来そのスタンスを変えてはいませんが、従来の製造業の工場誘致から、アジアひいては世界のヘッドクォーターとして、シンガポールを利用してもらおうという政策に方向を転換します。

主な日系のアジア統括会社

以下、シンガポールに統括会社を設立した、主な日系企業を紹介いたします。

1.Bridgestone Asia Pacific Pte. Ltd.
ーブリヂストン・アジアパシフィック

ブリヂストン

タイヤの販売会社そしてファイナンス部門、購買会社とすでにかなり以前からシンガポールには進出済みであった同社ですが、2006年10月にアジア統括会社を設立。

2.Mitsui & Co.(Asia Pacific)Pte. Ltd.

三井物産
2007年にアジア統括会社をシンガポールに設立

以前は日本の支店格として、シンガポールに事務所を構えていた三井物産ですが、
それまで日本にあった統括部門を、シンガポールで独立させました。

現在アジア及び環太平洋地区の各支店は日本の三井物産管轄ではなく、
Mitsui & Co.(Asia Pacific)Pte. Ltd. 管轄下に置かれています。
現在かなりの数の駐在員の方が、シンガポールをベースにアジア各地で活躍されています。

3.Mitsubishi Heavy Industries Asia Pacific Pte. Ltd.

比較的最近、アジアの統括会社を設立したのは、三菱重工業。
もともとシンガポールでは古くから、プラントやごみ焼却場の建設に携わってきた同社ですが、2014年11月にアジア統括会社を設立しています。
ちなみに、シンガポールフライヤー(観覧車)の制作も、三菱重工です。

4.Sumitomo Chemical (Asia Pacific) Pte Ltd

住友化学も2013年3月に”Sumitomo Chemical (Asia Pacific) Pte Ltd”
を設立しています。

住友化学は、まさにシンガポール建国の基礎を築くために、シンガポール政府が必死に働きかけをした会社の一つです。ジュロン等の石油コンビナートも住友化学によるものです。

当時の様子が載っている、ページを発見しました。ご興味のある方は、こちらもご覧ください。
IRマガジンvol.92

こうして見ていくと、もともと古くからシンガポールに法人を構え、シンガポールとはなじみの深い会社がアジア統括会社を設置した例が多いようです。

その背景には、シンガポール政府の強力な誘致工作があったことは想像に難くありません。
まずは古くから付き合いのあった会社に営業をかけたという事でしょうか?

日系企業                             日本経済新聞電子版より

しかし、上記の表の中には、今まであまりシンガポールに縁のなかった会社もあります。

GMのように中国にあった、HQをシンガポールに移設したケースも外資系では多く見受けられます。
現在の中国の様子と見ていると、やはり彼らの判断は、正解だったのかなと思えますね。

P&Gに関しては、表の「移転部門」の項目に日本から数十名が移動とありますが、日本にあった統括会社がシンガポールに移転してしまったので、日本に留まった社員の方は本社採用から現地採用という立場になってしまったという、話も聞いています。
流石外資系。やることがすごくシビアです。

このブログを書いていたら、こんなニュースが入ってきました。

森永乳業は1月20日、東南アジア・太平洋地域における育児用粉乳メーカーなどへのBtoB事業の販売強化を目的として、シンガポールに新会社「Morinaga Nutritional Foods (Asia Pacific) Pte. Ltd.(モリナガ ニュートリショナル フーズ (アジア パシフィック))」を設立し、4月より事業を開始する、と発表した。                        -流通ニュース

日本の粉ミルクは、中国を始めとし、アジア各国で絶対的な人気があります。
森永乳業もそのあたりの市場を見越しての、アジア統括会社の設立でしょうか?

こうやって見ていくと、幅広い業種がシンガポールにアジアの統括会社を構えている事が、ご理解頂けると思います。

シンガポール政府は世界の優良企業をシンガポールに誘致している

アジア統括会社の新設や移転の背景には、シンガポールの政府の積極的な働きかけがあります。
自国のプラスになるような優良企業をシンガポールに誘致する為、企業に有利になるような、数多くの政策を発表しています。

中には公にはされず、各企業間と個別交渉をしている条件も数多く存在するはずです。

日本と比べて、物価水準の不動産価格も高いシンガポールが、何故アジアの統括会社として選ばれるのか?
それは次の機会にお話しさせて頂きますね。


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