シンガポールの法人税優遇措置について-新設法人に対する免税制度を中心に…

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シンガポールの税率の低さは、すでに皆様ご存知の事と思いますが、シンガポール政府は、優秀な企業の誘致、そして、企業保護のために、低い税率以外にも、様々な優遇措置を定めています。
今回は、新設法人の為の免税制度を中心とした、様々な税制優遇措置についてのご紹介をさせて頂きます。

以前のブログでご紹介させて頂いたように、
シンガポールの法人税の最高税率は17%となっています。
しかし、様々な優遇措置から、実行税率は10%にも満たない場合がほとんどです。

シンガポールの法人に対する優遇措置はあくまでも利益をあげている企業のためのものであり、ペーパー・カンパニーに対するものではない事をご理解ください。

本日はスタートアップの企業を対象とした免税制度と、既存の法人に対する部分免税についてお話させて頂きます。

目次

新設の法人に対する免税制度

まずはスタートアップの企業を対象とした、免税措置のご紹介から。
英語でも全然OKという方は、IRASのサイトへどうぞ!

この制度は新設された法人の課税所得が、設立から3年間にわたって部分的に免税となるものです。

免税額はどのくらい?

課税所得の最初のS$100,000は、100%が免税となります。
次のS$200,000に対しては50%が免税です。
課税所得がS$300,000だった場合は、法人税額はS$17,000となり、
実行税率は、5.6%となります。

ただし、毎年リベートがあるので、
さらに税率は低くなります。

すべての新設法人が対象?

この免税措置はすべての新設法人に対してのものではなく、
下記の要件を満たす必要があります。

①株主が20名以下であること。

②すべての株主が個人である事。あるいは1人の個人株主が少なくとも10%以上の株式を保有していること。

また、2013年2月25日以降に設立された投資持ち株会社および不動産開発会社は、
この免税制度の適用除外となっています。

要は個人(あるいは小規模)で法人をスタートさせた企業のみに与えられた優遇措置と言えるのではないでしょうか。

その他の免税措置

スタートアップ以外にも同様の免税措置はあるの?

この新設法人のための免税の条件を満たさない場合や、
上記のスキームの適用期間(設立から3賦課年度) が終了した場合には、
部分免除制度が適用されます。

この場合の免税額は下記の通りです。
最初の課税所得S$10,000 のうち75%が免税。
次のS$290,000 は50%が免税。

課税所得がS$300,000の場合は、S$152,500 (S$7,500+S$145,000) が免税となります。
残りの課税所得S$147,500 に通常の17%が課税されるので、法人税額はS$25,075となり、実効税率は8.3% となります。

タックスリベート

シンガポールの法人税に対する、優遇措置はこれだけではありません。
上記二つの制度に加えて、「タックスリベート」と呼ばれる優遇制度があります。

IRASのサイトから引用です。

YA 2016 and YA 2017

Companies will be granted a 30% Corporate Income Tax Rebatecapped at $20,000 for each YA. New!

YA 2013, YA 2014 and 2015

Companies will be granted a 30% Corporate Income Tax Rebatecapped at $30,000 for each YA.

2013年、2014年、2015年は上限をS$30,000として、30%の法人税が控除となりました。
2016年と2017年は上限をs$20,000として、同様に30%の法人税が控除されます。

控除額の上限や比率は、その時の状況に応じて変わります。

たとえば、”部分免税制度”が適用される法人の課税所得をS$300,000とします。
その場合、法人税額がS$25,075 となります。
そこから、さらにタックスリベートとして30%であるS$7,522が控除されることになります。
最終税額はS$17,553。
この場合の実効税率は5.8%になります。

すごく大雑把な言い方をしてしまえば、2015年度までは、既存の法人でも課税所得がS$30,000までだった場合、実行税率は6%以下ということです。

ただし、2016年度からは、
タックスリベートの上限がS$20,000に引き下げられますので、
税率は少し高くなります。

それでも、10%以下の法人税は魅力的なのではないでしょうか?

法人税率を調整するより、様々な優遇措置を講じて調整する方がフレキシブルに対応できるのかもしれません。

シンガポールの法人税は17%でとっても低いと思っていらした、日本の皆様。
実は様々な優遇措置があり、
実効税率はそれ以下という事、お分かりいただけましたでしょうか?

ただ、これだけで終わるようなシンガポールではございません。
政府は更なる優遇措置を用意しております。

シンガポールの法人税にご興味のある方は、下記のブログも併せてご覧ください。

▶ シンガポールの法人税優遇措置について-PICスキーム

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