シンガポールの事業形態についてー支店、法人、駐在員事務所設立

事業形態について

前回のブログ、
シンガポール会社設立の手順をステップ・バイ・ステップで分かり易くご説明
で少し説明させて頂いた、シンガポールの事業形態について、
今回は外国の企業がシンガポールに事業を行う際の形態に絞って、
ご紹介させて頂きます。

通常、外国の企業がシンガポールで事業を行う際の方法としては、

  • 支店を設置する
  • 現地法人を登記する
  • 駐在員事務所を設置する

の3つがあげられます。

今回はそれぞれの事業体の「特徴」「利点」「欠点」を取り上げます。

目次

シンガポールに支店を設置する理由

シンガポールの現地法人と支店の違いがよくわからない?これを読めばすっきり
等のブログでも何回か触れていますが、支店は独立した事業体ではありません。
本社に帰属している事業体です。

以前は建設会社や銀行そして商社など、
大きな金額を動かすことの大きい企業はシンガポールに支店を設置していました。

しかし、シンガポールが発展を遂げ、
さらに政府が年々法人税率の引き下げを行った結果、
シンガポールに支店を設置するより、
法人を設置するメリットの方が大きくなって来ました。

その為、現在ではほとんどの商社・建設会社は日本の本社とは分離した法人、
それもアジアや環太平洋のHQとしてシンガポールに会社を設立しています。

支店設立の条件

支店設立の条件は、下記のとおりです。

  • 現地在住の代理人を1人必要
    (*2014年より会社法が改正され、以前の2人代理人から1人に変更になりました。)
  • シンガポールにおける登記住所が必要
  • 日本の本社の情報を、すべて英文に翻訳した公文化した書類が必要

登記の方法に関しては、法人設立とほとんど変わりありません。

利点と欠点

支店設立の一番の大きな利点は、
本店からの資金移動が自由に行えることです。

大きな資金の移動でも、同じ会社内の資金移動とみなされる為、
二社間で契約を交わす必要はありません。

また、シンガポールで生じた損金は本店の損金として扱われますので、
日本では、節税のメリットもあります。
閉鎖に関しても比較的容易に行う事が可能です。

一方欠点としては、
シンガポールの税率の恩恵を受けられない事があげられます。

その為、初めからシンガポールで大きな利益が見込める場合は、
法人設立の検討をお勧めします。

また、支店の場合は本社で会社組織に変更が生じた場合など、
シンガポールで登記している情報も変更しなくてはならないという、書類上の煩雑さもあります。

日本の銀行から融資を受けて、シンガポールで事業を行う場合、
税理士事務所等を通じて、支店を設立を勧められた中小企業さんも見受けられますが、
どの程度の節税になるのか、
本当に支店設立がベストな選択かを検討することが大切です。

シンガポールに法人を設立する理由

法人設立 (会社設立)の条件

シンガポールで外国人(外国企業)が事業を行う際、
最も一般的な形態が現地法人の設立です。

法人登記の方法については、シンガポール会社設立の手順をステップ・バイ・ステップで分かり易くご説明で詳しく説明しておりますので、そちらも参考ください。

シンガポールでは、外国人の一人取締役が可能です。
但し、最低一人の取締役はシンガポールに居住している必要がある事、
そして、事業を行う為の登記住所も必要な事から、
ペーパー・カンパニーを設立するのには適していません。

シンガポールの政府が法人税を低く抑えたり、
外国企業に様々な恩恵を与えているのは、
実際に当地でビジネスを行ってもらう為です。

法人設立 (会社設立)の利点と欠点

様々なところで一番に取り上げられている利点は、
法人税の低さですが、
それ以外にも、法人の設立や閉鎖が比較的簡単に行えるという事もあげられます。

税金の低さばかりが、大きく取り上げられていますが、
低税率の恩恵を受ける為には、売り上げを上げることが大切です。

シンガポール自体はとても小さな都市国家ですので、
国内のみで大きな利益を上げるのは、なかなか難しいです。

但し、東南アジアやオセアニア諸国へのビジネス展開には、最適な地と言えるでしょう。
欧米の大企業の多くがシンガポールにアジアの統括会社を置く理由は、そこにあります。

また英語が公用語という事もあり、ビジネスがとても行いやすいという利点もあります。

一方欠点としては、実際に当地で事業を行う予定のない人にとっては、
法人設立を行っても、経費ばかりがかかってしまうという問題があります。

やはり、シンガポールに法人を設立するからには、
きちんとした売り上げを立てることが大切です。

外国に法人設立と聞くと、大事のように聞こえますが、
シンガポールの場合、支店設立と比べても設立の期間や費用
そして、閉鎖の際手続きも、
支店と現地法人にはそれほどの違いがありません。

中には、「シンガポールに法人がある」というネームバリューの為に法人を設立する企業もあるようです。

現地法人と支店の違いは、
こちらの「シンガポールの現地法人と支店の違いがよくわからない?これを読めばすっきり」
も参考にしてください。

下記に、シンガポールの法人登記を統括する役所ACRA( Accounting and Corporate Regulatory Authority)のホームページのリンクを貼っておきます。
法人登記以外の設立についても詳しく説明があります。
Setting Up in Singapore(英文)

シンガポールに駐在員事務所を設立する理由

駐在員事務所設立の条件

駐在員事務所の設立は、IEシンガポール(シンガポール国際企業庁)が管轄しています。

駐在員事務所設立の条件は、

  • (本社の)年間売り上げが、US$25万以上ある事
  • 会社(本社)設立後3年が経過している事
  • 従業員は4名以下である事
    とされています。

駐在員事務所の設置は、3年が最長となっています。
それ以降、続けて事務所を設置したい場合は、IEからの承認が必要となります。

駐在員事務所設立の利点と欠点

シンガポールに設置した駐在員事務所で行うことができるのは、
「市場調査」「進出する際の規制調査」「展示会への参加」などに限定されており、
金銭を伴う一切の活動は禁止されています。

本社が販売した商品や技術のアフターケアなども、
禁止されていますので注意が必要です。

シンガポールで、実際に事業を行う予定がある場合は、
最初から法人登記を行う事をお勧めいたします。

実際にシンガポールに法人を構えて、実際ビジネスが成り立つのか?
あるいは、アジア諸国へのビジネス進出を考えているが、いきなりどこかの国に法人登記をするのが心配。
という企業の方には、駐在員事務所の形態がお勧めです。

まとめ

今回は、支店、現地法人設立、駐在員事務所それぞれの利点や欠点を取り上げてみました。

それぞれの特徴をしっかり理解し、
自社にあったスタイルでのシンガポール進出をお勧めいたします。


当社ではシンガポールヘ進出される企業の皆様、

また移住をお考えの皆様のサポートをさせて頂いております。

当地での移住をご検討中の方は、

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そして、会社設立等については、

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