この記事は、「資産を安全に保有するため、シンガポールに口座を持ちたい」
あるいは「すでに口座を持っているけれど、資産を次の世代に確実に引き継ぎたい」
と思っている方に読んで頂きたいです。
あなたは、シンガポールで銀行口座を開設しただけで、
資産を次世代にスムーズに引き継げると安心してはいませんか?
シンガポールで銀行口座を開設しても、
それだけでは資産を次世代にスムーズに引き継ぐことはできません。
なぜなら、シンガポールと日本では相続法が異なるためです。
口座を開設するだけでは、万が一の際に、遺族が資産を相続する手続きが複雑になり、
時間や費用がかかる可能性があります。
この記事では、シンガポールと日本の相続法の違い。
シンガポールでの遺言書作成の重要性について解説します。
また、まだ口座をお持ちでない日本在住の方には、
最後に口座開設のご案内もしています。
大切な資産を確実に次の世代に引き継ぐために、
ぜひ、この続きをお読みください。
日本とシンガポールの法律の違い
日本とシンガポールでは相続法が異なっています。
そのため、口座を開設しただけでは、あなたの資産を安全に次の世代引き継ぐことは、
不完全だと言うことをお話させていただきました。
ここで、日本とシンガポールの法律における特徴的な違いを、簡単にご紹介します。
コモンローと大陸法-異なる法律の基礎
シンガポールは Common Law(コモンロー)に基づき、
一方日本では 大陸法に基づいて法律が整備されています。
この法体系の根本的な違いは、相続手続きにも大きな影響を与えています。
両国の法律の違いを理解することは、日本在住の日本人がシンガポールに銀行口座を開設する際に、
資産の保全と相続の計画を立てる上で非常に重要になります。
コモンローと大陸法の違い
では、簡単に二つの法律の違いを見ていきましょう。
コモンロー:英国法において発生した法概念。イギリスの植民地だった国に多く見られます。
シンガポール、アメリカ、カナダ、オーストラリア、インドなどが該当します。
判例を重視する制度で、裁判官の判断が先例となり、以降の判決に影響を与えます。
法律は一般的に抽象的な内容になる傾向があり、裁判での判断に委ねられる部分が多くなります。
大陸法:「ローマ法大全」を基盤とした法体系。
ヨーロッパ大陸を中心に発展した法系で、アジアでは、日本や中国などが該当します。
成文法を重視する制度で、議会で制定された法律が最も重要な法源となります。
法律は具体的で詳細に規定される傾向があり、判例の拘束力や裁判官の裁量の余地は比較的少なくなります。
法系の異なる日本とシンガポール。相続手続きに与える影響は?
ここまでの説明で、日本とシンガポールの法律の違いについて、
大まかなイメージをつかんでいただけたでしょうか?
それでは、次にそれぞれの相続法の違いと相続に与える影響を確認していきましょう。
日本の相続法:
法定相続分(各相続人が受け取るべき財産の割合)や遺留分(一定の相続人が必ず受け取る権利がある財産)が法律で厳格に定められています。
銀行口座が一時的に凍結されることがあっても、遺産は法に基づいて配分されます。
シンガポールの法規定:
相続に関する法規定もコモンローに基づいており、遺言書が非常に重要な役割を果たします。
遺言書がない場合、法律で定められた規則に従って画一的に遺産が分配されるため、故人の意思が反映されない可能性があります。
シンガポールの口座処理はシンガポールの法律に基づいて処理される
国際相続の原則として、不動産はその所在地国の法律に、動産は所有者の本国法に従うとされていますが、銀行口座や保険などの金融資産は、動産とは別に扱われることが多く、その資産が存在する国の法律に従うことが一般的です。
つまり、日本に住んでいる人が、シンガポールに銀行口座を持っていた場合、
その口座の相続手続きは、シンガポールの法律に基づいて行われます。
これは、日本の相続法が適用されないことを意味します。
具体的には、以下のようなケースが考えられます。
日本に住む人が、シンガポールの銀行口座を持っていた場合、
その口座の相続手続きは、シンガポールの法律に従います。
日本に住む人が、シンガポールに不動産を所有していた場合、
その不動産の相続手続きは、シンガポールの法律に従います。
このように海外に資産を持つ人は、その国の相続法を理解し、
適切な対策を講じることが重要になります。
特に、コモンローと大陸法の違いは大きいため、現地の専門家のアドバイスが必要です。
シンガポールでの遺言書作成の重要性-口座開設時に遺言書が重要な理由
シンガポールの法律に基づいた遺言書を作成することは、
シンガポールに資産を持つ人にとって、とても重要です。
現地の法律に沿った遺言書があれば、あなたの意思を反映した資産の分配がスムースに行えるようになります。
これによって、残された家族間のトラブルも防ぐことができます。
シンガポールでの遺言書作成の注意点
現地の法律に準拠する:
シンガポールの法的要件を満たした遺言書を作成することで、相続手続きがスムーズに進みます。
遺言の内容の有効性を確保する:
遺言書が正しく作成されていないと、無効になるリスクがあります。
シンガポールの法律に精通した弁護士の助けを借りて作成することが重要です。
手続きの円滑化:
シンガポールで有効な遺言書があれば、相続手続きが簡略化され、遺族が資産を受け取るまでの時間が短縮されます。
二重の法的手続きを避ける:
シンガポールで遺言書を作成することで、日本とシンガポールの両方の法律に対応し、法的手続きの重複を避けられます。
ご家族の安心を守る:
明確な遺言書があれば、遺族が資産の分配に関して不安や争いを抱えることが少なくなります。
シンガポールでの遺言書作成に関する問題点
言葉の問題:
遺言書は英語で作成する必要があり、法律用語を含む英語での正確な意思表示が難しい場合があります。
遺言書の形式要件:
シンガポールの遺言法(Wills Act)に基づく形式要件を満たさないと、遺言書が無効になるリスクがあります。
費用の問題:
シンガポールでの遺言書作成費用の相場を把握するのが難しい場合があります。専門家に依頼する費用について事前に確認しておくことが重要です。
専門家選びの難しさ:
信頼できる専門家を見つけるのは容易ではありません。特に外国であればなおさらです。
日本人スタッフが在籍するシンガポールの法律事務所や日本の大手弁護士事務所を探すことも一つの方法ですが、遺言書作成の専門家を探す方がより効果的です。
遺言書作成にかかる費用を抑えるために
実は、シンガポールでの遺言書作成は、それほど難しいものではありません。
コモンローに基づくシンガポールでは、遺言書の作成が一般的なため、
遺言書作成に特化した弁護士も多く存在します。
総合法律事務所と比べて、遺言書作成に特化した弁護士は料金が安価であり、
専門的なサービスを提供しています。
費用を抑えながら、安心して遺言書を作成することが可能です。
当社のサービスのご紹介
当社は、法人設立や移住のトータルサポートを提供しております。
その一環として、シンガポールでの銀行口座開設のサポートも行っています。
シンガポール非居住者でも、預金額が35万シンガポールドル以上のプレミア口座の開設をご希望の場合は、
口座開設のみのサポートも可能です。
口座開設のお申し込みを頂いた方には、
ご希望に応じて、現地の遺言書作成に特化した専門家もご紹介いたします。
銀行口座開設のサービスの詳細については、問い合わせフォームからお問い合わせください。
最後に
遺言書は、大切な財産を守り、次世代に確実に引き継ぐための重要な書類です。
せっかく海外に口座を開設したのであれば、
その資産を安全に相続させるために、信頼できる専門家に相談することをお勧めします。
遺言書の作成のみをご希望の場合も、どうぞお気軽にご相談ください。