日本では、「節税のための移住」話題で取り上げられる事の多いシンガポールですが、
節税の恩恵をうける事ができるのは、個人だけではありません。
資源を持たないシンガポールにとって、世界中から優良企業や将来的有望な企業を誘致することは、政府の大事な任務の一つとなっています。
この大事な任務を背負っているのが、
シンガポールの経済開発庁(EDB:Econnomic Development Board)です。
*EDBには、なんと日本語のサイトもあります。
シンガポールがいかに、外国からの誘致に力を入れているのかがわかりますね。
シンガポール政府が掲げる多くの税制優遇措置の受付窓口は、このEDBです。
以前に、ブログでIRASによる優遇措置である、PICスキームをご紹介いたしましたが、
今回はEDBが統括する優遇措置をご紹介させて頂きます。
EBDによる、法人に対する税制の優遇措置
IRAS(シンガポール内国歳入庁)による税の軽減措置は、
基準がはっきりと明記されています。
その基準を満たせば、必ず優遇措置を受ける事が出来ます。
方やEDBによる優遇措置は、ケースバイケースで対応する案件が多いようです。
また、シンガポールに必要だと思う企業に対しては、
EDBの方から魅力的なオファーを提示し、誘致する場合が多いです。
1. 地域統括本部に関する優遇措置(Regional Headquarters Award:RHQ)
アジア太平洋地域の統括拠点をシンガポールに置く企業で、政府の認定を受けたものは、
税制優遇措置を受けるための要件(適格要件)を満たした場合、
法人税の軽減税率の適用を受けることができます。
適格要件は以下の4つ。
1)資本金、2)事業内容、3)人事、4)事業支出
2. 国際統括本部に関する優遇措置(International Headquarters Award:IHQ)
軽減税率の適用期間は5年から10年。統括会社の規模やシンガポール経済への貢献度によって、詳細は個々に決定されます。
3. パイオニア優遇制度(Pioneer Incentive)
最大15年に渡って法人所得税が免税される制度です。
但し、「パイオニア企業」の基準として、明確なものはありません。
EBDのサイトによると、
申請を希望する企業は、シンガポールでの設備投資額、事業支出、高度熟練作業だけでなく、最先端の技術、スキルや事業活動の定着を含む、最新で実質的な経済への貢献計画を提出する必要があります。
となっています。
かなり、抽象的ですね。
また、
認定を検討する際は、シンガポールの産業発展に対する投資案の重要性、研究開発やイノベーション能力の育成、および経済全体にもたらす波及効果も考慮されます。
という事です。
しっかりとした事業計画を練って、提出。
後はEBDの判断次第という事になるのでしょうか?
4.開発・拡張優遇制度(Development and Expansion Incentive : DEI)
パイオニア企業として以前認定を受けていた企業や、パイオニア企業としての認定を受けられなかった企業を、対象にした制度です。
要件を満たした企業は、10年間5%もしくは10%の軽減税率が適用されます。
こちらも、EDBの判断で決定されます。
5. 企業向け研究開発支援策(Research Incentive Scheme for Companies : RISC)
シンガポール経済に、測定可能な利益をもたらすとEDBが認めた研究開発が対象となります。
研究開発費用の一部が、助成金として支給されます。
測定可能という言い方が曖昧ですが、こちらも判断を下すのはEDBです。