立て続けに同じようなご質問、お問い合わせを頂いたので、
このブログの読者様にシェアさせていただきます。
きっと、このブログをいつもしっかり読んで頂いている読者さんは、
こんなことは、絶対に考えないと思いますが…
頂いた質問です
質問1
日本に法人がある貿易会社のオーナー様から
質問内容:
シンガポールに法人を設立し、
現在中国から仕入れて日本に売っている商品を、
シンガポールを介して販売したい。
法人設立の理由:
シンガポールと日本の税率の違いで、
シンガポールで売上を計上したほうが利益が残るから。
質問2
日本で事業を行う個人事業主の方から
質問内容:
シンガポールに法人を設立し、
現在日本で上がっている利益を全て、シンガポールで計上したい。
法人設立の理由:
質問1の方と同様、シンガポールと日本の税率の違いで、
シンガポールで売上を計上したほうが利益が残るから。
質問3
日本に法人がある投資会社の社長補佐の方から
質問内容:
法人はシンガポールにすでに設立済み。
シンガポールに社長が設立した会社が
マネロン目的と日本から指摘されるのではないかと、心配。
詳しい質問内容は、割愛しますが、
このケースの場合、日本の税務署に見つかれば、
明らかに脱税とみなされるでしょう。
節税と脱税の違いを、理解していたくことが、
大切です。
この3つの質問の共通点
では、整理を始めていきます。
この3つの質問には、共通点があります。
そしてその共通点が、ご質問者(あるいはご質問者の会社)が
考えているようには行かない理由です。
共通点その1
シンガポールでは全く実業を行わない!
共通点その2
取締役で株主である、ご本人はシンガポールに在住しない!
共通点その3
シンガポール在住の取締役は現地で契約した、ノミニーダイレクター!
共通点その4
会社で上がった利益を全て、
日本在住の株主の役員報酬として受け取りたい(受け取るつもり)
これだけの条件が揃ったら、完全に日本からは、
脱税とみなされますね。
こんなことに、シンガポールが利用されるのは、
日本の皆様に、シンガポールの利点を十分に活用して、
ビジネスをして頂きたい私としては、
とても心外です。
はっきりと、「本気でビジネス」とブログのタイトルにもあるのに…
どうしてこのような質問が、あとを絶たないのでしょうか?
節税の方法であれば、ご相談は可能ですが、
脱税希望の方は、他の会社にご相談下さい(笑!
ここで終わってしまったら、質問への返答にはならないので、
少しだけ説明していきましょう!
問題点を整理します
受け取った収入(役員報酬)は日本では課税対象
まず、覚えていて頂きたいことは、
日本に居住している日本人は、日本に納税義務があるということです。
海外からの収入であっても、日本の税務署への申告義務が生じます。
シンガポールの税率は適用されません。
更に、シンガポールに非居住の外国人取締役が
役員報酬を受け取る場合、
シンガポール法人は、
シンガポールで、20%の源泉税を納税する義務があります。
例えば、役員報酬が1億円だった場合、
会社は2000万円分を政府に支払うわけです。
そして、この役員が受け取った報酬は日本で、
日本の税率によって課税されます。
ということで、日本に住んでいる限り、
外国で役員報酬をもらうメリットは、
あまりありませんね。
もちろん、見つからないだろうと思って、
申告をしないのは、
明らかに、脱税行為ですから、
くれぐれも気をつけて下さいね。
移転価格税制による課税対象に可能性あり
質問1の場合、今まで直接販売していた商品を
新たにシンガポールで会社を設立し、
その会社を経由して、販売するというプランをお持ちなのですが、
ここに、日本の法人を介した場合、
移転価格税制の課税対象になる可能性があります。
販売者側と購入者側双方に、
シンガポールを経由する正当なメリットを、
証明することが必要となってきます。
この問題は、現地に取締役(ご質問者様)が在住している、
していないにかかわらず、発生する問題です。
利益率を上げるために、
日本の事業をシンガポールに移してしまい、
中国との取引を直接行う予定であれば、
全く問題はありません。
法人として、
シンガポールの低税制の恩恵を受けることができます。
但し、取締役個人の収入に関しては、
日本在住の場合、日本の法律に従う必要があります。
シンガポールで実業が伴わない法人設立をお考えの皆様へ
本当にシンガポールに法人を設立するメリットが、
合法的にあるのかどうかを、もう一度確認してみてはいかがでしょうか?
シンガポールに移住、会社設立をご検討中の方で、
現在お悩みを抱えている方は、
当社まで、お気軽にご連絡下さい!