シンガポールでの法人設立に関して、色々なお問い合わせを頂くのですが、
中には本当にシンガポール法人を設立する意味があるのかが、
良く分からないものもあります。
今回のブログでは、当社にお問い合わせを頂いたご質問を基に、
シンガポールでの法人設立が、
メリットになる場合とそうではない場合についてご説明致します!
それでは、最初の質問から…
ケース1.シンガポールに法人を移したい
日本にて、オンラインショップを個人で経営しているの方からのご質問です。
【背景】
一年の売上は、2000万円程。
海外から商品を買い付け、発送業者に依頼して個別発送を行っているので、
法人が日本にある必要が無いと考え、シンガポールでの法人設立を検討中。
ご自身は法人をシンガポールに移設後も日本に在住、
シンガポールへの移住は考えてはいない。
【問題点】
そもそも、この方がなぜシンガポールへ法人を移そうと考えたのかが、
よく理解できません。
もしかしたら、日本で「シンガポールに法人を作りましょう、その方がお得です!」
みたいな話が広まっているのかもしれません。
ご質問頂いた文章の中に、
「日本に法人を置いておく、必要が無いと考え」とあります。
日本に住んでいて、日本で事業を実際行っているのに、
日本に法人を構えておく必要が無いとは、どういう意味なのか?
少し前から、話題になっているグーグルやAmazonなどの超大企業が、
節税を模索して、低税率の国に法人を設立するのとは訳が違います。
ご自身は、日本にそのまま在住されるのですよね。
日本で実業をされているのに、
なぜ、外国に法人を移さなければいけないのでしょうか。
外国に法人を移したあとは、「無職」と言って、
日本で所得税を収めない、ご予定なのでしょうか。
でも、それは無理な話です。
シンガポールの就労許可を持たない人は、
シンガポールで給与をもらうことはできません。
シンガポールの法人から、
シンガポール非居住者の取締役に支払うことができるのは、
役員報酬のみです。
ただし、この役員報酬には一律20%の税金がかかります。
また、日本が居住地である場合、納税の義務は日本で発生します。
それがたとえ、海外の法人で得られた収入であってもです。
【結論】
日本に居住したまま、シンガポールで法人を設立して事業を行っても、
税制的なメリットは、ほとんど見いだせない。
次に、シンガポールに居住地を移すと仮定しても、
住宅費が高いシンガポールでは、
年間2,000万円程度の売上では、
シンガポールに法人を移し、移住するメリットは
ほとんど無い。
ご自身がシンガポールに在住しない場合は、
現地の取締役を雇う必要があります。
シンガポールで法人を維持するために必要な、
登記住所や現地取締役に支払う金額を考えると、
節税目的だけでのシンガポールでの法人設立はお勧めできません。
ケース2.シンガポールに在住し、日本の会社の取締役になれますか?
【背景】
現在は、シンガポールのローカル企業に現地採用として勤務。
シンガポールに在住のまま、
日本にあるお父様が所有する有限会社の取締役となり、
将来的には、シンガポール在住のまま会社を継承したい。
【問題点】
ケース1のご質問同様、ご質問の意味があまり理解できません。
実際のご質問では、「継承できるのでしょうか?」とありましたが、
他の取締役の、猛反対にあうとかの事態が起こらなければ、
世界中のどこにいようと、
事業を継承する事は、物理的には可能です。
こちらのご質問の場合、「有限会社」とあるので、
お父様お一人が、株主で取締役の可能性もありますね。
それであれば、尚更事業継承については、
お二人の間で決めれば良いことですから、
何も問題はありません。
ただし、日本で行っている法人をシンガポールで継承して、
果たして、事業に支障をきたすことは無いのでしょうか?
日本では、しっかりと事業を実際に行ってくれる人がいるのでしょうか?
あるいは、その事業そのものをシンガポールに移転させるおつもりなのでしょうか?
このあたりが全く不明です。
もしかしたら、この方が本当に質問されたかった事は、
お父様の遺産の相続関連の問題かもしれません。
お父様が日本に居住されているので、
受取人の息子さんがたとえ海外にいても、日本の税制が適用されます。
ケース3.仮想通貨で大きな含み益が発生!
シンガポールに法人を設立して移住したい。
【ご質問内容】
仮想通貨で大きな利益がでてしまった。
日本で利益を確定すると、雑所得とみなされ課税額が大きいので、
税率の低い、しかも仮想通貨の利益に関しては、非課税の
シンガポールに移住したい。
仮想通貨に関連するご質問は、
昨年末から数多く頂いております。
色々なケースはあるものの、
ごく表面的な事情をご説明頂いているだけなので、
あまり、はっきりとしたアドバイスは、差し上げることができないのですが、
中には、「これは虫が良すぎます!」というご質問もありましたので、
今回は、そんな質問をご紹介させていただきます。
「仮想通貨の含み益が、約20億超あります。
シンガポールに移住すれば、日本で税金を払わずに済みますか。」
確かに、日本で利益を確定すると、雑所得扱いとなり、
最高で55%の税金が課せられます。
現在のシンガポールであれば、
個人が長期保有していた仮想通貨を換金した際は、
キャピタルゲインは非課税扱いとなっています。
なので、シンガポールに移住して、口座を移し現金に換金すれば
日本で払わなければいけない税金の分、節約できたことになります。
金額が金額なので、ものすごい違いですね。
但し、なぜ私が「虫が良すぎる」と言ったのかと言いますと、
ご質問の主は、シンガポールの居住者となった時点で、
保有している仮想通貨を現金化、
その後、直ぐに日本に戻られようとご計画しているのです。
うーん。
仮想通貨を現金化するだけの目的で、法人設立を移住を計画。
そして直ぐに日本に帰国とは。。。
そんなご相談を持ちかけられても、
法人設立のお手伝いをさせて頂く事はできません。
当社がお手伝いをさせていただくのは、
シンガポールの税率やビジネスの仕組みを最大限に利用して、
ご自身のビジネスを発展させようとご計画中の方々です。
一歩間違えれば脱税のようなスキームを計画して、
シンガポールでの法人設立を検討中の方のお手伝いはお断りさせていただきます。
日本の税率は確かに高くて、税金の使いみちが不透明だったりして、
税金を払いたくない!って気持ちが起こるのは理解できます。
今回取り上げました、3つのご質問、
なにか、今の日本の世相をものすごく反映しているような気がしました。
当社では、本気でシンガポールに進出して、
ビジネスを行おうとご検討中に皆様のサポートをしております。
メールやスカイプでのお問い合わせを受け付けておりますので、
お気軽にご相談下さい。
当地での移住をご検討中の方は、
シンガポール移住サーポートのページを
そして、会社設立等については、