シンガポールで法人設立後、
法人運営をしていく上で、しなければいけない大切な事の一つに
銀行口座の開設があります。
日本でも、年々厳しくなって来ている法人の銀行口座開設ですが、
シンガポールでもやはり日本同様、
あるいはそれ以上に難しくなってきています。
しかも、慣れない外国での銀行口座開設ですから、
日本で法人口座開設のご経験がある人でも、
戸惑うことも多いはずで。
今回は、シンガポールでの法人口座開設について
詳しくご説明させていただきます。
KYCって何?
プライベート・バンクで口座を開設する際によく耳にする言葉、
”know Your customer(client)”
この、KYCが法人口座開設の際も、
重要視されていることを
考慮しておきましょう。
KYCの大まかな意味は、
銀行開設を申請する顧客のことを、
銀行の担当者は、
しっかりと知る必要があるという事です。
具体的には、
会社のバックグラウンドや、
事業内容、
年間の売上や銀行利用の頻度
などがあげられます。
口座開設を希望する人(法人)は、
銀行員からの多岐にわたる質問に返答する必要があります。
また、その返答の裏付けになるような書類の提出も同時に求められます。
脱税やマネーロンダリング目的での法人設立を防止するため、
世界各国で、KYCが徹底されてはじめて来ているようです。
口座開設の手順
それでは、具体的に口座開設の手順を見て行きましょう!
必要書類について
シンガポールの銀行で法人口座を開設する場合には、
下記の書類が必要となります。
-
- 定款(Constitution)
- Bizfile(銀行側で予め印刷して用意してくれる場合もあります)
- 英文の株主の住所証明(日本語から訳したものであれば認証が必要)
- 英文の取締役の住所証明(上記と同様に、日本語から訳したものであれば認証が必要)
- 請求書や領収書
- 会社のビジネスプラン(必須ではありませんが、銀行員に質問される時に予め用意しておいたほうが安全です)
- 身分証明書(日本人の場合はパスポート)
上記以外にも、
それぞれの銀行や担当者によって提出書類が異なる場合があります。
また、銀行や金融庁のレギュレーションは頻繁に変更されます。
その都度、銀行に確認し、最新情報を入手する必要があります。
日本に親会社がある場合は、
親会社の書類等を提出すると、
比較的、スムーズに法人口座を開設することができますが、
バックグラウンドが、全くない新規の会社では、
かなり口座開設のハードルが高くなっています。
銀行が口座の開設で見ているポイントは?
次に、口座開設をスムーズに行うための、
ポイントを説明します。
口座開設に必要な資本金の額はいくら?
シンガポールでは、最低1シンガポールドルの資本金で法人設立が可能です。
但し、資本金は会社の体力などを示すもの。
更に、外国で新事業を行おうとすれば、
それ相応に資本金は必要となります。
特に外国人が立ち上げた法人の場合、
資本金の額を、チェックする銀行は多いです。
あまり少ない金額ですと、
口座開設ができなくなりますので、注意しましょう。
銀行によっては、
口座開設時の最低の資本金が、
ある程度決まっている場合もあるので、
あとで増資する必要が生じないよう、
予め金融機関に確認してから、
資本金を決めるのも、得策かもしれません。
シンガポールで本当に事業が行われているか(行う予定があるのか)
マネーロンダリングや、脱税など、
法人口座を利用した犯罪が増えていることから、
登記された会社が業務を行っているのかをチェックし、
事業の実態を確認するケースが増えています。
取引先の詳細や、
実際に発行された請求書や領収書などの
提出を求められる場合が多くなっていますが、
新規に立ち上げた会社の場合は、
提出できる書類が限られているのが実情です。
必ず必要というわけではありませんが、
そろえられる書類は、揃えておいた方が安全です。
事業内容や事業計画が明確か
一般にBizfileと呼ばれている電子定款には、
簡単に事業内容が記載されているだけです。
そのため、
銀行では具体的な業務内容を詳しく質問してくる場合が多いです。
質問された時に戸惑わないためにも、
事前にしっかりとして事業計画を立てておくことをオススメします。
このように、口座開設においては、
会社の実態がしっかりとあることを
銀行に証明する必要があります。
法人口座の開設で注意すること
最後に、開設の際に予め知っておいたほうが良い事について。
口座開設には2名以上の取締役、
あるいは1名の取締役と秘書役が銀行員の目の前で署名する必要がある
通常は、銀行に直接会社の代表者が出向いて口座開設の申請をします。
担当者が指定の場所に来てくれることもありますが、
その場合でも取締役が、
銀行員の目の前で書類にサインすることが義務付けられています。
法人登記まではシンガポールへの渡航の必要性はありませんが、
銀行口座開設の際は、必ずシンガポールにお越し頂く必要があります。
事業内容の準備をしておく
法人口座の開設の際、
事業内容の説明は必ず求められます。
質問されて慌てないように、
大まかな事業内容などはきちんと説明できるようにしておきましょう。
また、事業内容や組織図などを予め印刷して用意しておくと、
スムーズに口座開設ができます。
当日には口座の開設はできない
個人で銀行口座を開設する場合、
早ければ、申し込み当日に銀行口座を開設することが可能です。
しかし、法人の場合、審査には最低でも1週間程かかります。
追加書類が必要な場合は、さらに日数がかかりますので、
余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
また、就労許可を申請する場合は、
銀行口座開設後、資本金を入金。
増資完了の連絡をMOM(就労許可の申請を取り扱う役所)にする必要があるので、
口座開設は、法人登記後直ぐに行うことをオススメします。
オススメの銀行は
補足として、たまに◯◯銀行で開設がしたい!と言われるお客様がいらっしゃいます。
シンガポールのローカルバンク(シンガポール地場の銀行)以外は、
新規法人の口座開設を、行っていない場合が多いので、
事前の確認が必要です。
日本で既に取引のある日本の銀行で、
シンガポールに支店がある銀行であれば、
比較的スムーズに口座を開設することができます。
今回のまとめ
今回は、
シンガポールでの会社設立時の
銀行口座開設について紹介しました。
外国での法人口座開設。
わからないことが多くて戸惑うかもしれません。
時間をかけても構わないから、自力で頑張るという人以外は、
サポート会社に全てまかせしてしまい、
ご自身は、法人のマネージメントやセールス等に集中するほうが得策です。
但しその場合でも、
会社の業務内容や、将来のビジネスプランはしっかりと把握しておきましょう!
当社では、シンガポールへの進出を
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