中小企業の海外進出は何故失敗が多いのか?

中小企業の海外進出は何故失敗が多いのか?

企業の海外進出が、大企業だけのものと思われていた時代は終わりました。
中小企業の進出、更には個人で海外で起業をするという流れは
ドンドン加速しています。

ただ、せっかく海外進出を果たしても、
1年も経たない間に簡単に撤退してしまう企業が多いという、
残念な事実もあります。

今回は、
何故、大企業と比べ中小企業の海外進出に失敗が多いのか。
また、中小企業や個人事業主の方が
海外進出する際に気を付けなければいけない事。
を中心にお話をさせて頂きます。

目次

何故、中小企業や新興の企業の海外進出は失敗しやすいのか?

2016年の大国データバンクの調査では、海外に進出した企業のうち、
約40%が「撤退または撤退の検討あり」と回答しているそうです。

調査に対して返答した企業が、1万968社。

そして、海外進出があると回答した企業1611社という事ですから、
この40%という数字が、
果たして高いのか、低いのかを判断するのは難しいと思います。

ただ、シンガポールで法人設立のお手伝いをしている立場から感じるのは、
大企業に比べると、
中小の企業や新しい企業の撤退の比率は明らかに高いという事です。

中小企業が海外に進出する理由

  • インターネットの普及により、海外の企業からの商品の問い合わせを直接受けるようになって、海外に興味が湧いてきた。
  • 以前から代理店を通じて海外へ商品を販売しているが、思うように売れない。
    あるいは、自社のコントロールがあまり利かないので、
    いっそのこと、自分たちで独自に海外の販路を作ってしまおうと考えた。
  • 国内の市場が縮小してきている不安から、活路を海外に求めたい。
  • アジアのマーケットが熱いと聞いている。自社もぜひそのマーケットで勝負をしたい。

もし、あなたが既に日本でビジネスをされていて、
海外進出をお考えであれば、
きっと、上記の理由のどれかに当てはまるのではないでしょうか?

大きな希望を描いて、海外進出を決めた。
でもいざ海外へ進出したら、思ったようにうまく行かない。
じゃあ撤退しよう。

そんな事態に陥らないように、
他社の失敗パターンや成功パターンを学んで、
リスクを最小限に抑えましょう。

中小企業の海外進出が失敗するパターン

失敗パターンその1

事前調査をほとんどしない。(とにかく当たって砕けろ型)

大企業の進出と一番異なるのが、やはり進出前の事前調査に関する問題です。

もちろん、大きな資本を有する大手企業と同じような事前調査方法を、
予算の限られた中小企業や、個人の起業家が行う事には無理があります。

但し、反対に予算やリソースが限られているからこそ、
大企業にはできない調査方法もあるはずです。

海外進出へのきっかけは、なんでもかまわないとおもいますが、
ろくに進出先の調査もせずに、
間違った判断で、Goサインを出すことだけは避けましょう。

失敗パターンその2

日本人だけでマネージメントする。ローカルの意見を取り入れない。

中小企業が大手企業に比べて、圧倒的に不利なのが、
優秀な人材を確保することが容易ではないという事。

特に、海外進出に際して、
外国語が自由に操れる人材を現地に送り込むのは
とても難しいです。

そのせいもあるのか、
どうしてもマネージメントが日本人だけになってしまい、
日本人から、ローカルへのトップダウンの経営に偏りがちです。

大きく事業展開を行うのであれば、
マネージメントのローカル化は必須条件です。

日本の良いところを取り入れながらも、
現地に根づいた経営を行う事は大切です。

失敗パターンその3

日本でのやり方をそのまま海外で展開しようとする。

少し前になりますが、
フランスのスーパー、カルフールやイギリスのドラッグストア、ブーツなどが日本で、
このパターンの進出を行い、失敗しています。
因みに、カルフールは、マレーシアでは完全に現地化して現在も営業を続けています。

「日本製品は世界でも評判が良いから、現地化せずにそのまま売れる。」という考えは、
大きな危険をはらんでいます。
何を売り出すかを検討する際には、現地の市場をしっかりと調査することをお勧めします。

但し難しいのは、海外で既に日本の〇〇は〇〇だから良い。
と評判が立っている商品の販売です。

これらの商品は、変にローカライズすると、
反対に、興味を持ってもらえなくなります。

ユニクロが初めに中国に進出した時に失敗したのは、
中国人が手軽に購入できるよう、
ローカライズしてしまったからです。

その後、高品質を売り物にして、
しっかり中国人の心を掴みました。

ターゲットをしっかり絞って、
彼らのニーズにこたえる商品の提供をしなければいけません。

失敗パターンその4

日本での成功体験に頼りすぎて、海外市場を甘く見ている。

失敗パターンの3とも重なるのですが、
どうしても、
「日本製品だから売れる」
「日本のマネージメントだから良い製品だ」
と日本人は考えがちです。

でも、それは20年ぐらい昔の考えで、
東南アジア市場では、
日本製品のネームバリューはそれほど高くはありません。

また、日本人が求めているものと、
海外の人が求めているものに、微妙な違いがある場合もあります。

日本で人気商品だから、海外でも売れるという、
甘い考えは、海外進出では通用しません。

失敗パターンその5

リソースを投入しない。やる気が本当にあるの?

こちらも、失敗パターンの4との関連が深いです。

少し長くなりますが、
ここで楽天のシンガポール進出と撤退について、
お話しさせてください。

楽天がシンガポールに進出してきたのは、2013年の12月。
それからわずか、2年と2か月で撤退をしてしまいました。

撤退の理由として、楽天は
「シンガポールではオンライン市場がまだ、受け入れられなかった」
というニュアンスの発表をしていました。

楽天よりやや早く進出してきた韓国系のQoo10や、2012年に設立されたファッションサイトZalora、LazadaなどがシンガポールをHQとして次々と他のアジアの国々にビジネスを展開して行った事を考えると、
楽天の発表はアジアやシンガポール市場に詳しくない、日本サイドへの言い訳にしか聞こえませんでした。

上記の3つのサイトはどこも最初は本当に知名度もなく、
本当にこんなところで買い物をしても大丈夫なの?と思うようなページのデザインや品ぞろえでした。

たぶん、楽天はそんな彼らをみて、
「自分達ならもっとうまくやれる」と考えたのではないでしょうか?

その割には進出のしかたはお粗末でした。
一定の商品を検索すると、出てくるのは、ほとんどが上記の3社の広告。
楽天は、なんと「Rakuten」と検索しないと出てきませんでした!

明らかに広告費の使い方がおかしかった。

立ち上げには、リソースをできる限りつぎ込むべきです。

大企業だから成功する。
そんな図式は当てはまりません。

スタートの時点では、
できる限りのリソースを一点に絞って注入すべきです。

海外で、中小企業が成功するには?

さて、ここまでお話をさせて頂くと、
何やら海外への進出は、
大変そうだと感じてきましたか?

でも、ご安心下さい。
シンガポールできちんと、成果を上げて当地を軸足として
周辺諸国へと事業展開を進めている企業もあります。

成功している企業には、一定の法則があります。

以下、順を追って説明いたします。

1.立ち上げから事業展開のスピードがものすごく早い

スピードのある事業展開を推進できるという事は、
立ち上げまでの段階で、周到な準備や調査を行っているはずです。

2.常に現地の動きを見ながら修正を加えている

そして、いったん事業をスタートしたら、
現地のニーズに合わせて、常に細かい修正を行っています。

完成型の商品やサービスは存在しません。
顧客の要望や市場の変化に応じて、
臨機応変に対応することも大切です。

3.現地のスタッフとのコミュニケーションが十分に取れている

ここでいう、コミュニケーションとは、語学の問題だけではありません。

現地のスタッフを巻き込んで、
彼らにいかに、事業を自分事と思ってもらえるかという事です。

どうせ海外から進出してきて、失敗したら撤退するのだろうなどと、
スタッフに思われるようなビジネスプランだけは計画しない事です。

たとえスタートは良くても、絶対にどこかで躓きます。

4.とにかく覚悟を決める

最後は、マインドの問題になってしまいますが、
やはり海外進出を一度決めたからには、
少しぐらいうまく行かなかったからと言って直ぐに撤退してしまうのは、
考えものです。

計画はあくまでも計画であって、
いざ実行に移したら、
変更しなければいけないことが多々発生するはずです。

そんな状況にあっても、
絶対に成功するという強いマインドをもって
海外進出をするべきではないでしょうか。

最後に

各国の情報が、簡単に入手できるようになり、
中小企業にとっての海外進出は、
以前に比べれば、大分ハードルが低くなっています。

また中小企業庁ジェトロなどが率先して、日本の中小企業の海外展開をサポートしており、
経済的な面に関しても、大分恵まれてきているといえるでしょう。

その反面、聞きかじった情報だけで安易に海外進出を企て、
失敗してしまう例も多いのが実情です。

そうならないためにも、海外進出をご検討の方は、
しっかりと、本来の目的やビジョンを確認してください。

シンガポールでの法人設立をご計画中の皆さまは、
▶ シンガポールに法人を設立する事のメリット
も併せてご覧ください。


当社ではシンガポールヘ進出される企業の皆様、

また移住をお考えの皆様のサポートをさせて頂いております。

当地での移住をご検討中の方は、

シンガポール移住サポートのページを

そして、会社設立等については、

シンガポールビジネスサポート

も併せてご覧下さい!

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