シンガポールは何故、国際学習到達度調査で世界一位を独占できたのでしょうか?

Academic Achievement

皆さんは PISAという言葉を聞いたことがありますか?

PISA(International Student Assessment)は経済協力開発機構(OECD)が、
実施している、国際学習到達度調査です。

その2015年度の結果が、2016年10月6日に発表されました。
シンガポールは、調査対象の3教科とも世界一位という結果でした。

目次

PISA(International Student Assessment)について

PISAをご存じで無い方の為にPISAのシステムについて、簡単にご説明させて頂きます。

PISAは各国の教育システムを評価するため、
世界の15歳の学生を対象に2時間の試験を行い、
能力や知識を調査するプログラムです。

PISAが初めて実施されたのは、2000年。
その後、3年おきに調査が行われています。
当初はOECD加盟国の参加がほとんどでしたが、
徐々に非加盟国の参加が増えてきています。

2015年度は世界72カ国(地域)、約54万人が参加しました。
出題される問題は、単に丸暗記で回答できるようなものではなく、
生徒が持っている知識や技能を、
実生活でどの程度活用できるかという問題が中心となっています。

Students were assessed in science, mathematics, reading, collaborative problem solving and financial literacy.

What is PISA より

調査対象となるのは、
読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野。

毎回メインテーマが設けられており、
今回は科学的リテラシーが重点的に調査されました。

また今回の調査から、
筆記型調査からコンピュータ使用型調査へと全面的な移行が行われています。
*ただし、ベトナムだけは従来と同じ筆記型の調査で行われたようです。

2016年度発表、上位5位の結果です。

科学的リテラシー 平均得点 読解力 平均得点 数学的リテラシー 平均得点
1 シンガポール 556 シンガポール 535 シンガポール 564
2 日本 538 香港 527 香港 548
3 エストニア 534 カナダ 527 マカオ 544
4 台湾 532 フィンランド 526 台湾 532
5 フィンランド 529 アイルランド 521 日本 531

日本も、ゆとり教育脱却後は順位を上げてきています。

エコノミスト(英語版)の記事
PISAの試験の結果から、世界が学ぶことができる事
の中に、面白いグラフがありました。

国名や条件をクリックすると、結果が表示されます。

3科目平均という項目を選び、シンガポールをクリックしてみました。
ブールのラインと数字が浮き上がっているのがシンガポールです。

エコノミストグラフ
エコノミスト-What the world can learn from the latest PISA test resultsより

トータルの点数では、シンガポールをはじめ他の上位3か国も、
昨年度を下回っているのですね。

但し、他の国の下がり方が急だったので、
シンガポールが一位をキープしたようです。

因みに2006年のトップはフィンランドです。
フィンランドの教育は日本でも度々取り上げられているので、
ご存知の方も多いと思います。

フィンランドは、2015年は8位にランクしています。
アジアの諸国の台頭と、
欧米諸国のランクの下落が対照的な結果となっています。

何故シンガポールでは、それほど教育を重視しているのか?

最近では教育レベルの高い国と言えば、
名前が出てくるシンガポール。

PISAだけではなく、ザ・タイムズ・ハイアー・エデュケーションの世界大学ランキングでも、NUS(シンガポール国立大学)はアジアトップ、
そして世界で24位にランクインしています。

▶ 世界の大学ランキングで、アジアトップの大学は?

皆様ご存知の通り、シンガポールは東京23区内と変わらない面積のアジアの小国です。

マレーシアから独立して、半世紀余り。
現在では、経済的には日本を抜いて国民一人当たりの総生産では、
アジアトップの国になりました。

この、シンガポールの国家躍進の原動力となったものは、
教育だったのです。

PISAの結果発表の当日、イギリスのBBCは
Pisa tests: Singapore top in global education rankings
という記事を発表しています。

その中でも、シンガポールの建国当時の様子と、
いかにシンガポールが教育に重きを置いてきたかが綴られています。

シンガポールがマレーシアから突然独立をしなければならなくなったのが、
1965年の事、今からわずか52年前です。

シンガポールは小国で、全く資源も持たない国です。
独立当時はとても貧しく、教育レベルも低い国でした。

世界の中で、生き抜いていくには教育が一番大切と当時の政府は考えたのです。
そこで公用語を英語と定め、国をあげて教育の向上を推進したのです。

そして、見事に世界でも有数の豊かな国と変貌を遂げたのです。

現在発展が著しいベトナムが、PISAで上位に食い込んで来ているのを見ると、
やはり経済の発展と教育は、
深い結びつきがあると言えるのではないでしょうか。

ベトナムの3科目平均値は、世界で22位。
アジアでは8位です。ちなみにイギリスは23位。

これからのシンガポールが目指す道

シンガポールの教育制度と、教育レベルについてでも、
ご紹介させて頂いたように、
シンガポールの教育制度は、
小学校での卒業試験:The Primary School Leaving Examination (PSLE)の結果によって、進学先がほぼ決定してしまいます。

その為、シンガポールの未就学児や小学生の勉強量は
他の国に子供達に比べて、とても多いのが実情です。
親も子もかなりのストレスを抱えている場合もあります。

また、早い時期に落ちこぼれてしまった子供達や、
親の期待に応えられなくて挫折してしまう子供達も存在するのも事実です。

そのことを、サンケイニュースで、とてもネガティブに報じていましたが、
どの国でも同様の問題は、発生すると思います。

シンガポール政府も以前の進学制度を修正し、
大学進学への機会を何度か与えるシステムへ移行しています。

シンガポール首位独占のワケ 「1ドル硬貨8枚の重さは?」小学校卒業試験の威力絶大 競争の影でいじめや自殺も

オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の研究によりますと、
10年から20年の間に、なんと47%の職業がAIにとって代わられるとか…

これからの教育は、単なる暗記に頼るだけではなく、
AIではできない職種が必要とする知識や技能を身に着ける必要があります。

頭の良いシンガポール政府の事ですから、
このあたりもしっかりと念頭に入れて教育制度の改革に取り組んでいるかもしれません。


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