本日の話題は、シンガポールで外国人が働く為に必要な「就労許可」
-エンプロイメント・パスについてです。
エンプロイメント・パス取得条件が、
2017年1月から変更になります
2017年1月1日からエンプロイメント・パスの申請に必要な月額最低給与が、
現行のS$3,300からS$3,600に引き上げられます。
エンプロイメント・パスに関する、MOMのサイトはこちらからどうぞ
シンガポール政府は、シンガポール人の採用推進を各企業に呼び掛けており、
一般職における外国人の就労許可取得を、できるだけ減らす方針です。
実は最低賃金がS$3,300に引き上げられたのは、2014年の1月。
それまではS$3,000が最低ラインでした。
この4年の間に最低賃金がS$600も、引き上げられたという事です。
2011年にS$2,800。それ以前はS$2,500だったので、
10年も経たない間に、S$1,000以上の変更になっています。
シンガポール政府の政策の姿勢が、顕著に表れていますね。
今回の変更で日本人の採用は、難しくなるのでしょうか?
30歳中盤で日本の有名大学卒、職務経験が10年程度の人であれば、
EPを取得するためには、最低でもS$6,000位の給与が必要という、
日系の人材紹介会社からの情報もあり、
シンガポールで就労許可をとるのは、難しくなってきているという噂が、
日本人の間に広まっています。
シンガポールに来て、仕事を探して働こうとしている人にとっては、
確かにハードルは年々高くなっているのが実情です。
だからと言って、決して日本からの駐在員や、
高額の給与を受け取る予定の方々の就労許可取得が、
難しくなっているわけではありません。
もちろん、ある程度の資本金で会社を設立する企業のオーナの、
就労許可取得のハードルも、高くなっているわけではありません。
このあたりをどうか誤解しないでください。
但し、シンガポールに新規進出をして来た中小の企業などで、
現地で日本人スタッフを採用しようと予定していた方々にとっては、
MOMの外国人労働者に対する対策は、大きな影響を与えると思います。
もう一つは、
大手日系企業の日本人の現地採用に対する見直しです。
MOMから提示されている金額は、あくまでも最低賃金です。
ある程度経験もあり、年齢もそこそこであれば、
エンプロイメント・パス取得可能な最低賃金で、
エンプロイメント・パスの取得ができるとは考えられません。
となると、それほどの金額を出して
あえて日本人を採用するメリットあるのか。
各企業とも、そのあたりの見直しにかかって来るのではないでしょうか。
日本人を現地で採用するスタンスから、ローカルスタッフ採用へ
高い給与を払っても、このまま従来と同様に、
現地での日本人採用を続けていくのか、
それとも、ローカル従業員の採用にシフトしていくのか、
企業としては選択を問われる時期に差し掛かっているかもしれません。
これからも、EP取得の為の給与額の最低ラインは上がっていくと予想されます。
それであれば、初めからローカルスタッフの雇用を視野に入れた、
法人運営をされてはいかがでしょうか?
シンガポールに新たに進出をしてくる予定の企業の担当者の方、
あるいは、進出予定の企業のオーナーの為に、
これから少し、ローカルスタッフの雇用について、
ご説明させて頂きます。
ローカルスタッフの給与や待遇について
2015年のシンガポールの国民一人当たりのGDPは、
US$52,887.77で世界8位。
日本は、US$32,478.90で26位となっています。
日本は地域差もあるので、一概には言えませんが、
東京都の一人当たりの総生産がUS$57,000ぐらいなので、
おおよその目安として、
東京で従業員を雇う感覚とシンガポールは
ほぼ同様と考えて頂ければ良いのではないかと思います。
ただし、シンガポールの給与で日本と比較した大きな違いは、
新卒の給与額でも、
学歴(しかも卒業学校や学部)によって大きな開きがあるという事です。
大卒とそれ以外では大きく差がある、シンガポール人の給与額
実際、シンガポールの大学新卒はいくらぐらいの給与をもらっているのでしょうか。
2015年度、
シンガポールの大学の卒業生の給与額が載っているサイトを見ていきましょう。
Graduate Employment Survey 2015
一番高額なのは、SMU(シンガポールマネージメント大学)の法学部を優等で卒業した場合の
S$5,000(日本円で約40万)です。
平均では、S$3,000(日本円で約24万円)ぐらいでしょうか。
一番低い給与は、S$2,800(日本円で約22万円)
日本では、新卒の初任給は業種によっては多少変わりますが、
大学別でそれほど大きな差がつくことはありません。
でも、シンガポールでは、大学によって大きな開きがあるのが特徴です。
また、専門学校や高校卒業の学歴となると、
平均的な賃金は大きく下がってきます。
シンガポール人雇った場合、給与以外に必要な経費について
日本で社員を雇った場合、
給与以外におおよそ下記の経費が必要となります。
社会保険
厚生年金
通勤費
賞与
退職金
シンガポールでは、社会保険や厚生年金に当たるものがありません。
通勤費も通常は個人持ちとなっています。
賞与に関しては、初年度は給与の一ヶ月分程度、
会社の業績によって支払いが行われます。
退職金の制度もありません。
こうやって見ていくと、
日本で正社員を雇う方が経費がかかりそうです。
日本の社会保険や年金の代わりに、CPFと呼ばれるファンドがあります。
これは、積み立ての個人ファンドの1部を雇用主が負担する制度です。
負担額の比率は、景気などによって調整が行われますが、
2016年末現在の雇用者側の負担率は、
給与の17%(55歳以下の場合)となっています。
医療費の負担に関しては、日本のように社会保険等が無い為、
民間の保険会社と、企業が契約する形になります。
保険の条件など、日本とは異なることが多いので、
事前の調査が必要となってきます。
シンガポールで、従業員の雇用を検討されている方々へ
言葉の問題だけではなく、物事の考え方の違いなどから、
どうしても、他の外国企業に比べ日系企業の場合は、
日本人を採用するケースが多いのが特徴です。
グローバルな企業を目指すのであれば、
日本人の雇用にこだわる必要が本当にあるのかを、
この機会に、一度しっかりとお考えになってみてはいかがでしょうか?
シンガポールで大きな成功を収めている日系企業はどこも、
現地に溶け込んでいる企業ばかりです。
もちろん、進出当時は日本からしっかりとした舵取りが必要かもしれません。
でも、一歩踏み込んで外国で企業を大きくしていく予定があるのであれば、
現地に根差した企業運営が不可欠となるでしょう。
シンガポールへの法人設立を、お考えの方は、以下のページも併せてご覧ください。
▶ シンガポール会社設立の手順をステップ・バイ・ステップで分かり易くご説明
タイトルの通り、シンガポールでの、会社設立の手順を説明してます。
▶ シンガポールの事業の形態についてー支店、法人設立、駐在員事務所設立
どんな形態での進出をするべきか、迷った時はこちらのブログを参考にして下さい。
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