シンガポールで法人を設立して、就労許可を取得することは難しい?

シンガポールのEP

シンガポールから、日本人の皆様に「会社設立」「移住」サポートを提供している、
シンガポールビジネスサポートがお伝えするシンガポール情報です。

本日の話題は、
「法人を設立して、就労許可を取ることは難しいのか」です。

以前
シンガポールで申請していたエンプロイメントパスが却下されました。これってよくあることなのでしょうか?
という記事の中で、ある方から
「他社を通じて法人を設立し、そこから就労ビザ(EP)を申請しましたが、却下されました。」
というメッセージを受け取ったお話をさせて頂きました。

この方がどのような条件で、EPを申請したのかは把握出来ていないので、
正確なお答えをすることはできなかったのですが、

最近、
「◯◯は無理と聞いている」とか
「シンガポールで法人設立するには、シンガポール人を一人雇わなければいけない」とか、
どこにその根拠が?
というような話をよく耳にします。

これは、きちんとした情報をお伝えしなければという事で、
以前にも何度か取り上げている就労許可(エンプロイメントパス)について、
「いい加減な情報は信じてはいけません!」という意味を込めて、
今回も取り上げてみようと思います。

 

そもそも、シンガポールのエンプロイメントパスって何?

まず、ここからご説明しますね。
ご興味のない方は、飛ばしてお読み下さい(笑!

シンガポールで外国人が働くためには就労許可が必要です。
就労許可と言っても、シンガポールには様々な種類のものが存在します。

就労許可の種類

ワークパーミット
メイドさんや建設作業現場で働く、肉体労働者系の職種に与えられるビザです。
港湾関係で働く労働者なども含まれます。

メイドさんはインドネシアやミャンマー。
建設作業員はバングラディッシュとか中国からが多いです。
雇用者は、政府に雇用するワークパーミット保有者一人一人の税金を支払う必要があります。

以前シンガポールの就労許可(WP)がQRコード付きに変更されます。のブログでご紹介した、ビザがこちらのワークパミットに当たります。

このビザの保有者は、家族を連れてシンガポールに住むことは出来ません。
また、普通の銀行口座の開設も出来ません。
家も個人では借りることは出来ません。
(そもそも、給与が安いので家を借りることは、物理的にも無理かとは思いますが…)
住居はメイドさんであれば、雇用者の家(メイド部屋があります)、
建設作業員は現場の寮(っていうほど立派では無いかも…)という、
ちょっと日本人には想像がしにくいステータスのビザであります。

人権と言うものが、なんかほぼ否定されているビザですよね。

 

Sパス
以前は、エンプロイメント・パスで一括りされていたものが、
細分化されて出来たカテゴリーです。

大卒に満たない学歴であったり、
給与額が低い場合は、このSパス申請の対象となります。

最低の月額給与額はS$2,200 (2017年9月現在)ですが、
雇用側のバックグラウンドも関係しているので、
この金額で、ビザが必ず下りるという確証はありません。

Sパスで雇用をお考えの事業主の方は、ギリギリの給与ラインでの申請は、
かなりのリスクを伴うので、ある程度給与に余裕をもたせることをお勧めします。

従業員総数に対して、Sパス保有者の定員は定められています。
(一般の職種で全体の20%以下)
こちらのビザも、雇用者は政府に一定の税金を収める必要あり。
保険の加入もワークパーミット同様雇用者側の責任です。

ホテルやレストランで働く、フィリピン人や中国人にこのビザで働いている人が多いです。
このSパスですが、最低給与額が上がってしまったり、
雇える人数枠に制限が課せられるなど、
中々雇用主にとっては、厳しい状況です。

 

エンプロイメントパス
前置きが長くなりました。
ここでいよいよ本題のエンプロイメント・パス(通称EP)の登場です。

こちらが日本人の駐在員、
そしてシンガポールで新たに事業を始めようとする方が取得する必要のあるビザです。
MOM(シンガポール人材省)のページにEPの規定について書かれているので、
これをきちんと読んで一体どんなビザなのか、
きちんと把握しておきましょう!

一部を転載させて頂きます。

Have a job offer in Singapore.
Work in a managerial, executive or specialised job.
Earn a fixed monthly salary of at least $3,600 (more experienced candidates need higher salaries).
Have acceptable qualifications, usually a good university degree, professional qualifications or specialist skills.

MOMのEPのページより

 

ここで気をつけなくては、いけないのは、
これはあくまでも、指標に過ぎないということです。

もちろん、ひと月の給与額が$3,600以下であれば確実に申請は却下されます。
でも、会社の社長さんが$3,600の給与額で申請して通ると思いますか?

きちんとカッコの中に、経験者はそれ($3,600)以上の給与が必要と書いてありますよね。
要は、$3,600という給与額は申請が出来る最低額という事です。

個人で法人を設立し、そこから就労許可の申請をご予定であれば、
最低でも、S$8,000 前後の給与額の設定をお勧めします。

MOMのサイトにセルフ・アセスメントのページがあるので、
ご自身で予めチェックすることも可能です。

但し、その結果が100%反映されるわけではありませんが…

 

学歴について

良くシンガポールの事を知らないのに、
色々な情報を寄せ集めて書いたと思われる無責任ブログの中に、
大学(それも有名大学)を卒業していないとビザが出ないと言い切っているものを、
多く見受けますが、そんな事どこにも書いてありません。

”usually ”の意味わかっているのかなーって思います。
それに、学歴だけじゃなく、
”professional qualifications” や”specialist skills”も考慮すると書いてあります!
シェフや美容師さんなんかが、このカテゴリーに当てはまるのではないでしょうか?

正しくは高等教育を受けた人が望ましいけれど、
そうじゃなくても可能性はあるよ。
っと理解して下さい。

もちろん、有名大学卒業や修士号や博士号を持っていると、
ビザの取得が比較的簡単なことは事実です。

でも、中学しか卒業されていない方でも、
法人を設立して立派に就労許可を取得されている事例もあります。

どうか、間違った情報を鵜呑みにしないで下さい。

上記以外にも、EPの中には、
パーソナライズド・エンプロイメントパスアントレパスと言うものもありますが、
こちらの説明は、今回は省略させて頂きます。
ご興味のある方は、MOMのリンクを貼っておきましたので、そちらをどうぞ。(英文です)

 

じゃあ、どうしてEPの取得が難しいと言われているのか?

いよいよここからが、
今回のメインテーマです。(前置き長くてすみません…)

まず、

  • 一体誰がEPの取得が難しいと言っているのか?
  • 次は、申請して取得ができなかった人は一体どんな人なのか?
  • 最後に、申請者(取得する人が申請者ではありません。雇用主が申請者です!ここを間違えないで下さいね)のバックグラウンド

を抑えていきましょう。

そもそも誰が、EPの取得が難しいって言っているの?

情報の出どころは、とても大切です。
だって、そもそもシンガポールで会社を設立して、
その会社からご自身にビザを出そうとしているのに、
人材紹介会社とか、現地で働く場所を探して、
EPの申請をしようとしている人の情報をご自身に当てはめても何もなりません。

人材紹介会社が「EPの取得が難しくなりました」
と言っているのは、事実ですが、
それは、EP取得のための最低給与額が引き上げられたので、
雇用者としては、EPビザ枠で雇用しようと思った場合、
以前より多くの給与を支払わなくてはいけなくなったので、
大変という意味の場合が多いです。

また、シンガポールで現地採用と言う立場で働こうとしている人にとっても、
以前よりはハードルが高くなったという意味です。

最低給与額が引き上げられた少し以前に、
外国人を雇う前に、シンガポール人の雇用を
まずは考慮しなければいけないという制度も出きました。

大手企業さんの中には、本当は日本人スタッフが必要だけど、
まずはシンガポール人に対して求人広告を出さなくてはいけなくなってしまい、
現地採用者を取ることが結構面倒になっています。

Singaporean Core: Creating one Singapore Workforce
少し前(2016年4月)の当地の新聞 Straits timesに出ていた記事です。

But growth in Employment Passes (EPs) has also slowed down from 32,000 in 2011 to 9,000 last year.

2011年に3万2千人だった、EPホルダーが2015年には9,000人に減っているので、
たしかにEPを取得することは難しくなっているのでしょう。

ただ、それは、あくまでも企業が雇用するEPホルダーに関してのことが
メインだと理解して下さい。

更に、これは2年前の情報です。
2年前から比べると、それ程状況が変化しているとは思えないのに、
最近になって、日本人の間(それもシンガポールにオフィスの無いような会社から)で、
法人を設立して、シンガポールでビザを取るのは難しいという声が上がっているのは何故なのでしょうか?

EPの取得が難しいとうのは、「現地で仕事を探している人にとって難しい」という、
言い方が正解なのでは無いでしょうか。

 

EPが却下されるのは、どんな場合のでしょうか?

MOMでは、EPが却下された理由を申請者に説明することはありません。
その為、憶測でいろいろな噂が飛び交っています。

ただ、確実に言えるのは、
MOMでは、申請者(雇用主)のバックグラウンドを確認しています。
これはどういうことかと言いますと、
資本金の額が大きく、これまでEPを申請した際にも、
何も問題が無かった会社から申請されたEPは受理されやすいという事です。

反対に資本金が十分でなく、
トラックレコードが無い会社からの申請には、MOMだって慎重になります。

これって、ごくごく当たり前のことですよね。

では、後者の様な会社から申請する場合はどうしたら良いのか???
自ずと、答えは出てくると思います。

MOMを安心させる理由を作れば良いのです。

その理由付けが出来ていない会社からの申請は、
却下される確率が高いということです。

EPには、Sパスのように、
一定数のシンガポール人を雇わなければいけないという決まりはありません。

なので、「シンガポール人を最低一人雇う必要がある」と言っているサイトは、
何を根拠にそんなことを堂々と言っているのか…

ある金融系の会社は、30数名のスタッフのうちなんとシンガポール人従業員は0!
でも、何故かEPを申請してリジェクトされたことは無いそうです。

もちろん、これは特殊な例ですが、
そういう可能性もあるということです。

 

EPが却下されたらどうすれば良いの?

ここまでお読みくださった皆様、
法人を設立して、そこからご自身のEPを申請するという方法が、
決して以前と比べてことが難しくなっているわけでは無いということ、
お分かりになって頂けたと思います。

ただ、何故かどうしても意味が理解できないという理由で、
EP申請がリジェクトされる事が、ごくごく稀にあります。

その場合は、すぐにMOMに再申請の依頼を出しましょう!
その時に、いかに会社にとって、その人(EPを申請する人)が必要かの証拠付けを行います。

これで、ほぼEP取得は間違いないのですが、
万が一にもそれでもだめな場合、
あるいは、自力で交渉する自信がない場合は、
専門の弁護士さんに相談してみるという手段もあります。

移民を専門に行っている弁護士事務所一覧(英文)

でも、そんな大事になる前に、申請前にきちんと情報を整理して、
リジェクトされない状況を整えて、申請に望んで下さい。