投資目的とは別に、
シンガポールに移住される際に、
不動産の購入をご検討される方が最近は多くなってきました。
今回は、ご自身の住宅用として購入される際に気をつけなくてはいけない、
シンガポールの不動産事情についてお話します。
外国人の目から見た、シンガポールの不動産事情
販売価格が高い
日本でも、シンガポールの不動産価格はとても高いと言われています。
世界では、一体どのくらいの位置づけなのでしょうか?
世界的に有名な、イギリスの不動産総合コンサルタント会社のナイト・フランクが、
毎年行っている、
「100万USドル(日本円で約1億1000万)でどのくらいの面積の不動産が買えるか」
という調査があります。
それによると、世界一不動産価格が高い国はモナコ公国
100万ドルで購入できる広さは、たったの16平米!
2位は香港の22平米。
3位ニューヨーク25平米、4位ロンドン28平米と続き、
シンガポールは5位の39平米。
日本はと言いますと、
一番高い都市は東京の12位。
購入できる面積は76平米です。
やはりシンガポールの不動産、お高いですね。
外国人が購入できる物件は限定されている
高級物件以外の不動産購入は不可など、
アジアの多くの国々は不動産購入の際、
外国人には特別な条件を課して、
自国民の不動産購入を、優先する立場をとっている場合が多いです。
現在シンガポールでは、外国人が購入できる住居用物件は
コンドミニアムと言われる、高級集合住宅に限られています。
シンガポール国民の殆どが暮らしている、
HDBと呼ばれる政府系機関が販売する物件や
土地付き一戸建ての購入は、不可能となっています。
但し、土地付きの一戸建てに関しては、例外があり、
セントーサ島の住宅開発地区の物件は、
外国人の購入が可能となっています。
日本と異なり、購入できる物件には制限があること、
念頭においておきましょう。
外国人に課せられる印紙税
投機目的などの購入による、不動産価格の急上昇を避けるため、
特別な印紙税の支払いが課せられています。
外国人の場合は、シンガポール人や永住権取得者と比べると、
この税率がかなり、高く設定されています。
これは、外国人の場合、
自己利用ではなく、投資目的で購入する場合がほとんどだからです。
多分中国人が、ここシンガポールでも不動産の爆買いを行っているのでしょう。
純粋に住居用として、購入を検討している外国人にとっては、
本当に迷惑な話です。
この印紙税が、さらに2018年7月に値上げされました。
詳しい税率は下記の表をご覧下さい
印紙税率 | ||
2018年7月5日以前 | 2018年7月6日以降 | |
シンガポール人 | ||
1軒目の居住用不動産を購入 | 0% | 0% (変更なし) |
2軒目の居住用不動産を購入 | 7% | 12%(5%値上がり) |
3軒目の居住用不動産を購入 | 10% | 15%(5%値上がり) |
永住権(PR)保持者 | ||
1軒目の居住用不動産を購入 | 5% | 5% (変更なし) |
2軒目の居住用不動産を購入 | 10% | 15%(5%値上がり) |
外国人 | ||
居住用不動産を購入 | 15% | 20% (5%値上がり) |
法人 | ||
居住用不動産を購入 | 15% | 25% (10%値上がり) |
デベロッパーが居住用不動産を購入 | 15% | 25+5% (15%値上がり) |
特に厳しくなったのは、法人による住居用の不動産購入です。
但し、デベロッパーに課せられる印紙税は、
所定の条件をクリアにすれば免除になります。
シンガポールで住居用の不動産購入検討する場合は、
特別な印紙税が課税されることをきちんと理解しておくことが必要となります。
物件を購入する際は、流動性のあるものを購入すること
それは、あまり高い物件を購入しないこと。
最近立て続けに、
「シンガポールのコンドミニアムって10億円ぐらいするって言われたんですけど…」
という質問を受けました。
確かに10億円のコンドミニアムはあることはありますが、
それらはあまりポピュラーな物件ではありません。
普通、10億円の予算があれば、
多分土地付きの物件を購入するでしょうし、
賃貸に回そうと考えている人であれば、
一番市場が活発な価格帯の不動産に投資するはずです。
販売価格が4ミリオン
(日本円で約3億4千万程)の物件の平均月額の家賃が、
100万円ですので、販売価格が10億円の不動産となると、
家賃は最低でも200万円はするはずです。
いくら富裕層の比率が高いシンガポールとは言え、
毎月の家賃に200万円を支払う層は
それほどいるとは思えません。
販売位価格が10億円の物件の家賃が、
150万円程という例もあります。
あまり高い家賃では、賃貸のマーケットが狭いので、
値下げしているのかもしれません。
これでは、賃貸での収入は期待できません。
なので、シンガポールの不動産投資に詳しい人の間では、
これらの高額物件は、よっぽどの条件が整わない限り、
あまり購入する人はいません。
販売価格が10億円と3億円の物件の差は、
立地や付帯サービスによるものが殆どで、
部屋自体はそれほど大きく異なりません。
甘い言葉に惑わされて、
高い物件を掴まないようご注意下さい。
将来転売を見越した物件を選ぶなら
では購入当初は自宅と利用し、将来的には転売をご希望の場合、
一体どんな物件を選んだらよいのでしょう?
購入時に気をつけるポイントを少しだけお知らせします
市場が活発に動いている価格帯をチェックする
一口に住宅の物件相場と言っても、外国人が購入できるものでも、
一億円から20億円程度まで、広い価格帯で物件の価格は広がっています。
その中で、ご自身の住宅用として使用しても不具合はなく、
且つ、転売がしやすい物件を見つけるためには、
市場の動きを調査することが大切です。
日本と比べても、個人でのシンガポールの不動産売買はとても活発です。
また、比較的簡単に売買記録を調べることができます。
URAの下記のサイトでは物件名を入力すると、売買記録が簡単にチェックできます。
Private Residential Property Transactions
このようなサイトを使って情報収集をして、めぼしい物件を探してみましょう。
*URAとは、Urban Redevelopment Authorityの略で,都市再開発庁と訳されます。
シンガポールの都市開発を担当する法定機関です。
物件購入から4年以内は転売しない
外国人が物件を購入する際に、特別な印紙税が課せられるのと同様に、
購入から4年以内に転売した物件に関しては、Seller’s Stamp Duty (SSD) という
印紙税が課せられます。
1年以内の転売では、16%
以降、2年で12%。3年で8%。4年で4%の税率です。
こちらも、不動産物件価格の上昇を抑えるための措置です。
購入後すぐに転売の必要が生じて、
無駄な税金を支払う事態にならないように、
購入の際には、きちんとした計画をたてましょう。
人のアドバイスを鵜呑みにしない
以前に、ある現地の不動産会社の取締役が
「不動産エージェントの殆どが信頼できない」と言っていました。
これは少し大げさとは言え、物件の売買に携わるほとんどの人は、
売り手や買い手の利益よりも、
自分たちの利益を優先にしていると考えて良いでしょう。
高級物件になるほど、自分たちの手数料も大きくなるので、
自然と顧客が十分な予算を持っている事を知れば、
高い物件を勧めてきます。
あるいは、早く手数料がほしいために相場をあまり知らない外国人には、
「これが現在の最高値だ」などと言って、
物件をいち早く売ってしまおうとする売り手側のエージェントもいます。
これは何も、シンガポール人に限ったことではありません。
甘い言葉や、煽り言葉に騙されず、
正確な判断を持つ目を持って下さい。
最後に
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
シンガポールの不動産事情が少し、解って頂けたでしょうか?
日本とは全く異なる事情のシンガポールの不動産売買。
値段は確かに高額で、最近は色々な規制が多くなりましたが、
売買の際にキャピタルゲインが生じない。
築20年以上の物件でも、
立地や条件が良ければ20年前より高い価格で売ることができないなど、
やはり魅力的な面は多いです。
何より、個人的に家賃を払い続けていくのであれば、
購入のほうがずっとお得感があります。
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